萬翠荘 ホームに戻る|俳句の殿堂TOP|~俳句の殿堂~ やまびこ
やまびこ
結社理念
俳誌「やまびこ」は昭和25年4月・群馬県渋川市で産声をあげた。主宰未灰が27歳であった。創刊時より同人欄を磁針集としたのは、同人は自からの力で方向を示せと云う意をこめたからである。雑詠集を群峰集としたのは、作家個々の個性を尊重すると云う意で、それは主宰の亜流を作らないと云う青年主宰の純粋さがもたらした方向である。創刊時の主張は今も変わらない。日常坒事にポエジーを生活の中に歌声を守って今日がある。
主宰者
吉田 未灰(ヨシダ ミカイ)
大正11年生まれ。群馬県高崎市在住。
戦中「雲母」「草汁」等に投句。戦後「暖流」「鴫」「群峰」「俳句人」等を経て「秋」同人。
昭和25年、俳誌「やまびこ」を創刊、主宰。地方俳壇に尽くす。
【句集】
傾斜』『半孤』『独語』『刺客』『繹如』『無有何』『恬淡』『上毛野』
【エッセイ集】『火と鉄』
鴫賞、風来文学賞、県教育委員文化功労章、高橋元吉文化賞、高崎市文化賞。地域文化功労者文部科学大臣表彰、現代俳句協会顧問、県現代俳句協会名誉会長、県俳句作家協会顧問、県文学賞選考委員、村上鬼城顕彰会副会長、産経ぐんま俳壇選者、NHK文化センター講師。
連絡先
住所
〒370-0857 群馬県高崎市上佐野町1011
〒370-0857 群馬県高崎市上佐野町1011
FAX
027-322-7505
027-322-7505
主宰の100句
1 | 木の実独楽人生傾斜して廻る |
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2 | 旱天の亀裂真赤な唐辛子 |
3 | 火夫春愁火色に染みし胸ボタン |
4 | 牛の尾がひらりひらりと枯野指す |
5 | 遠くメーデーよいしょよいしょと杭打ちこむ |
6 | 啄木忌さみしくなりて逆立す |
7 | 金魚脱糞夜もろんもろんと飛行音 |
8 | 冬椿咲けり父母在り孝なさず |
9 | 地虫は尻から子は頭から世に出しや |
10 | 豆の花その数千の瞳の喝采 |
11 | 黒い怒濤と寒月少女のふくらはぎ |
12 | 機関車に潜る白息交しつつ |
13 | 雑木芽吹くは叱咜に似たり歩き疲る |
14 | 黄落や墓群の貧富黒づくめ |
15 | さくら花季手を洗はさる保育児ら |
16 | 竹落葉わが手をいつも倖せ逃げ |
17 | 葱掘るやしんしん吹雪く遠嶺どち |
18 | メーデー不参の火色に憑かれ火がいのち |
19 | 葱の花生きるといふはくり返し |
20 | 紫木蓮曇り日の瞳の少女達 |
21 | 妻抱いて躬の証したつ雁の夜 |
22 | 芽吹くもの目搏つ終生火の虜 |
23 | がくぜんと野分に吹かる虹の半孤 |
24 | 独楽疾し行く日来る日の血まみれに |
25 | 虚実わがさきへとはたはた翔つ |
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26 | 碧落へ火種のごとき音のごとき |
27 | 一月や神へ仏へ身銭切る |
28 | わが影をはみ出し木の芽月夜かな |
29 | 谿紅葉声をださねば燃へつきさう |
30 | 草笛を子と吹くこころちぐはぐに |
31 | 七変化咲くだまされてばかりかな |
32 | 若葉風もうあくびして指吸うて |
33 | 貸馬の首さげてゆく山ざくら |
34 | わくらばの一会一韻身をそらす |
35 | 風韻のこだまかへしに寒ざくら |
36 | 旅人吾もおけら火を振り人混みに |
37 | 風花や落柿舎の爐は火を置かず |
38 | さへづりや遍路の笠の花結び |
39 | わくらばの一韻を掌にこもらしむ |
40 | 石仏の貌ぼうと昏れ雪起し |
41 | 沈丁の香まみれに寝て妻寄せず |
42 | 春泥に踏み出て護摩火渡りきる |
43 | 野火追ひの棒すさまじく先ぼそり |
44 | 生きざまのまこと愚かし田螺這ふ |
45 | 歩かねば芭蕉になれず木下闇 |
46 | 草虱に好かれてばかり埓もなや |
47 | 牡丹焚火待つしぐれ傘かたむけて |
48 | 俗名の墓碑ざらつけり吾亦紅 |
49 | 川虫の這ひ出てまぶしおひながゆ |
50 | 筒鳥や木曽谷青をそそのかす |
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51 | 湧き水の鱒を飼はしめ田を植ゑしめ |
52 | ひと謗りきて綿虫にまつはらる |
53 | 朴一花今日仏心をなほざりに |
54 | 百日紅ひと通らねばもの足らぬ |
55 | 枯葎さけて通らば通れさう |
56 | 鬼太鼓の音の冴えくる冬怒濤 |
57 | 墓あるもかなし墓なきは枯葎 |
58 | 死ぬる日は百虫すだく頃とせむ |
59 | 鶏頭の丈足らざれば跨ぎ過ぐ |
60 | 枯れ激し己れはげます平手打ち |
61 | 刺客待つゆとりのごとし懐手 |
62 | 花びらのほほに触れなば旅ごころ |
63 | いそぐ蟻なまける蟻とすれちがふ |
64 | 名残りの虫はわが鎮魂歌(レクイエム)生きめやも |
65 | 大熊手ふりかざしゆく小ざかしや |
66 | 焚火の輪ぬけでてうしろめたさあり |
67 | 結氷の湖真中より哭きはじむ |
68 | 蛇穴を出づ二枚舌すでに吐き |
69 | 蝸牛の濡れあと光りらりるれろ |
70 | 産みの足掻きの森青蛙泡まみれ |
71 | 褒貶にとほく白地を着て坐せり |
72 | 愚者われを見据ゑ高鳴く冬の鵙 |
73 | 霜柱踏みゆく己が重みのせ |
74 | 結跏趺坐すなわち寒に入る構へ |
75 | 黒凍みの道は師の道われも行く |
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76 | 亀鳴く思へり絵そらごとばかり |
77 | 栃咲けり骨身削りて得し詩片 |
78 | 火蛾せつに灯を恋ひ吾れら詩を欲るも |
79 | 虫鳴くと病む子へこころ馳せゐたり |
80 | 天の川なだれて芒原ほろぶ |
81 | いつか吾を乗せてをるなり花筏 |
82 | 饒舌の彼奴を泉の辺に置くな |
83 | 風花や七人の敵意中にす |
84 | 鷽鳴くや男の嘘とをんなの嘘 |
85 | 思惟仏の思惟さまたぐなかたつむり |
86 | 尺蠖ののぼりつめしは枝と化す |
87 | 捩子花の思慮や右捲き左捲き |
88 | 吾亦紅行乞流転われになし |
89 | 円翔し上昇し刺羽天へ消ゆ |
90 | 刺羽の渡り待つ秋暁の浜焚火 |
91 | 手締して意中のだるま背にくくる |
92 | 雀隠れ汚職隠しの彼奴ら死ね |
93 | 夜の湖の涼しさ伝ふ青芒 |
94 | わびさびといふにはとほしつるたぐり |
95 | 女薩摩とまがふ妻居て懐手 |
96 | 亀鳴くにあらず妻泣く夜なりけり |
97 | 葦芽吹くやっさもっさの残り鴨 |
98 | 芳次郎亡き鎌倉の花みもざ |
99 | をだまきの花の濃ければ逢ふと決む |
100 | わが名未灰生くかぎり踏む霜柱 |