俳句の殿堂

萬翠荘 ホームに戻る俳句の殿堂TOP~俳句の殿堂~ 八千草

八千草(ヤチグサ)

結社理念

八千草冊子
「八千草」の自由は、新仮名旧仮名を選ばぬことから始まって、夫々の人生を詩うこと。
「頭脳の詩人ではなく魂の詩人であってほしい」と唱え続けている。自分では発見し得なかった作品に、感動し合ってゆく句会参加の楽しみこそが、俳句向上と元気の源になっている。丁寧な指導があって新人の育つ結社である。

主宰者

八千草主宰 山元 志津香
山元 志津香(ヤマモト シズカ)
盛岡市生まれ、1980年「青芝」入会。55年青芝賞。61年「あした」新人賞。第11回連句協会賞、97年「八千草俳句・連句会」創刊、主宰。 「天為」同人。俳句協会。現代俳句協会。国際俳句各会員、滑稽俳句協会元理事。
【句集】
『ピアノの塵』『極太モンブラン』

連絡先

住所
〒215-0006 神奈川県川崎市麻生区金程4-9-8
FAX
044-955-9882

主宰の100句

1 春は曙なぁんてトースト焦がしてる
2 桜貝生まれしやうに死ぬるかな
3 クレヨンの素描感です花苺
4 春一番爆裂髪の子は素直
5 ここまでがわたしそこから崖朧
6 堅香子の花食べてきしバレリーナ
7 春みぞれ中也かぶりにベロア帽
8 ペン先をのぼる睡魔や鳥曇り
9 料峭やいまも極太モンブラン
10 三月ああ空襲真っ赤な誕生日
11 しなしなと陽炎をきて猫痩せる
12 べそかいて沓つかまる仕丁雛
13 片足は石にふんばり皺流す
14 薄氷は暁けの飛天の忘れ絹
15 蝌蚪の水望郷といふ玩具かな
16 昨日はしゃぎすぎし雀は蛤に
17 文学の嘘よ真よ鯥五郎
18 ひょっこりと鯉屋杉風浅蜊めし
19 春霖や哲学辞典のはじめは愛
20 夜桜へおとなの課外授業かな
21 抱瓶のほうと吸ひ込む春北斗
22 肩すべる衣鳴りのして画婦おぼろ
23 遊ぶことばかり考え若柳
24 老いるとは贅沢なこと朝桜
25 行く春の雲のかるさのフランス語
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26 夕虹の帯はニンフの森が曳く
27 白牡丹見つめ過ぎては傷むなり
28 正子次郎の声たちのぼる今年竹
29 かきつばた元禄の恋さんざめく
30 端午過ぎ頑張らなくていい柱
31 ジェームスディーン肩すぼめ来る麦
32 デビューしたくない孑孒でありにけ
33 もしかしてみんな淋しいラムネ振る
34 青嵐の山のしかかる渋民校
35 夏神楽みる半身は闇に置き
36 どん尻の山車たらたらと夏がゆく
37 噴水はフォルテ告白するなら今
38 明滅の滅はほたるの愛の闇
39 からだぢゅう螢の宇宙にして睡る
40 羅を脱ぎしばらくは烟りゐる
41 サルバドルダリの絵は伏せ熱帯夜
42 ともすれば志功の天女となる昼寝
43 紙魚育つ純文学の外にゐて
44 蘭鋳やあなおそろしき横恋慕
45 水母見し夜は家中が漣す
46 退屈が絵になってゐる砂日傘
47 銀涼しハムレットめくフェンシング
48 ジャコメッティ見てきし乳房あつし暑
49 蜘蛛は囲を月にかよふて架けてゐ
50 アボリジニの笛ぼうぼうと這ふ晩夏
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51 ババロッティーのアリアをたたむ秋
52 貝割菜ぞろりと天上天下あり
53 赤い鳥生んでごらんよ烏瓜
54 星流れながれのクレーの詩画とな
55 燐寸の焔美しすぎる夜の霧
56 おしろい花微糖珈琲なまぬるし
57 歌女鳴くを聴いた聞かぬと酒のつま
58 カンナ剪るサロメが首を抱くやうに
59 蔦紅葉ポストモダンへのぼりゆく
60 トルソーのふり向く気配星流る
61 名月を浜田庄司の皿に享く
62 太刀魚はかの知盛の落しもの
63 仙厓の○と□よ窓の月
64 天の川心経二百六十字
65 フェルメールの文よむ女も秋思かな
66 沢胡桃しばらく聴かぬチャイコフスキー
67 桐の実の鳴って夕星さそひ出す
68 サルトル読む灯火親しといふ暗さ
69 放哉のやうな句ができ火恋し
70 隼人瓜をとこも月に濡れたがる
71 襖絵の山河ずしんと無月かな
72 屈原の来さうな湖の野分跡
73 ふれないて下さいと売る桃の肌
74 桃の種受胎告知のごと残る
75 メディチ家の味かな洋梨ほの柔し
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76 菊人形たっぷり見し夜のかなしばり
77 わが道程ひっぱてゐる秋の蝶
78 桐一葉しかと明日ある手帳かな
79 海晩秋祈りの棒切れ砂に挿す
80 クリムトの愛の裳裾の崖さむし
81 北斗七星たどる指より冬に入る
82 北限の星見し貌か寒の鱈
83 一政の絵ほど活けたし冬の薔薇
84 裸木に語れぬ夢は吊るしおく
85 微笑みを使ひ果して大嚔
86 裸木の風はG線上アリア
87 牡丹焚くいちにち母のものを着て
88 クリスマス家々みんな玩具箱
89 処女雪に顔埋めもしやデスマスク
90 無伴奏のバッハよ雪の夜の底
91 霜菊や情っぱりの子と云われきて
92 一病にわがヒストリー冬桜
93 古暦哀しき日々にも焚けば舞ふ
94 マイセンの馬車の貴婦人にも淑気
95 ふくれっつらくっつけ合ふて焦がれ餅
96 煮こごりや定形のなき現代詩
97 螺旋階段がんがんゆくは寒九郎
98 寒牡丹かすかにわたしもふるえてます
99 水ごくごく飲んで月下の氷柱となる
100 にんげんが不意に濃くなる大雪原

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