萬翠荘 ホームに戻る|俳句の殿堂TOP|~俳句の殿堂~ 渦俳句会
渦(ウズ)
結社理念
渦俳句会は、俳句の心情を大切に各自の個性を伸ばして行きたい。
主宰者
赤尾 恵以(アカオ エイ)
昭和56年先代赤尾兜子の死後、「渦」俳句会を継ぐ。始めは代表同人として就任したが、平成6年秋に全同人の意向により主宰となる。翌年間もなく阪神大震災に遭遇したが、かろうじて渦発行所は被災も少なく現在に至る。
平成23年渦10月号にて創立500号を発表。この春、25年3月17日は兜子33回忌の法要が催される。恵以は第6句集の「交響」を上拝、この度その中から100句自選した。
連絡先
住所
〒658-0065 神戸市東灘区御影山手一丁目13-4
〒658-0065 神戸市東灘区御影山手一丁目13-4
FAX
078-811-0760
078-811-0760
主宰の100句
1 | 一月のネオンの青き阪神忌 |
---|---|
2 | 無想する机もつとも冴返る |
3 | 大根焚き世情に疎き日々を追ひ |
4 | 一徹は疲れ易きよ白障子 |
5 | 羅漢百態名残の雪のしまくかな |
6 | 寝そべりし盲導犬の花疲れ |
7 | 春満月後継ぎといふ嬰を抱き |
8 | 春雪の音なく滲む百度石 |
9 | しんがりに香の馥郁と梅日和 |
10 | われも流転春の薄氷軋みゐる |
11 | 万緑に地軸動かぬ大社 |
12 | 霊水を汲む神域に木の芽風 |
13 | 木下闇百選の水賜りて |
14 | 御旅所は夏鶯のこだまかな |
15 | 楠公の父子の別れや鳥雲に |
16 | 楠若葉正成の像御所へ向き |
17 | 駒止めし天日古ぶ夏木立 |
18 | 天井へ続く本棚菜の花忌 |
19 | 祝杯す「君に扇を」てふ舞に |
20 | 薄衣名を「まめ蝶」と披露して |
21 | 乾杯はウインナワルツと冬薔薇へ |
22 | 凍土と浄土の果も年始め |
23 | 山河濃き恵方へ三社詣かな |
24 | 息白く訪ふや芭蕉の生誕地 |
25 | 神前に山気ただよひ初神籤 |
TOPへ | |
26 | 意志一つ冬天に鳥はばたきぬ |
27 | 雪しまく大型観光バスの胴 |
28 | 人日の生薬を飲みどこか効く |
29 | 冬耕や雲霊山へ流れゆき |
30 | 存(ながら)えて理屈も一つ大嚔 |
31 | 雪女同じ話を繰り返し |
32 | 蛇穴を出て恐しき空の紺 |
33 | 雛飾りいくたび過す誕生日 |
34 | 兜子忌の支度忙しく亀鳴いて |
35 | 春星や甲斐なき望みひたすらに |
36 | 番犬の人疑はず春日和 |
37 | 三国志の厚き書を閉ず桃の花 |
38 | 夏みかん上手に剥きて年をとる |
39 | 断崖に白波砕けゐる薄暑 |
40 | サングラス戦なき空確かめる |
41 | みどり立つ象の時間に同化して |
42 | 象と我れ柵に隔り青葉風 |
43 | 年寄りの暮しの遅遅と牡丹かな |
44 | 手を振りて追ひ抜かれゆく船遊び |
45 | 蛇穴を出て人間を不思議がる |
46 | 銃後てふ言葉の遠く雲の峰 |
47 | 丸ごとのトマトをかじり裏切られ |
48 | 緑陰の届かぬ仏微笑せり |
49 | 脱稿に机上艶めき若葉風 |
50 | 抱きしめる命の一つ梅雨の月 |
TOPへ | |
51 | 蝙蝠に闇ひろがりぬ天地なく |
52 | ビール注ぎうしろ姿を好いてをり |
53 | 黙禱す平和の塔の梅雨底に |
54 | 鉛筆の太字の遺書や沖縄忌 |
55 | さかしらも作為も捨てよ梅雨の雷 |
56 | 終焉や石文碑(いしぶみ)に梅雨光りゐて |
57 | 首里城の梅雨の暗きに朱印状 |
58 | 生きて来し昭和遥かに星涼し |
59 | 炎昼の回転木馬人を待つ |
60 | 無花果を半分に割り仲直る |
61 | 遠慮して覗く「一力」青簾 |
62 | 若者も賑はふ祇園夏柳 |
63 | 金魚田に緋色重なり昼の黙(もだ) |
64 | 噴水のうしろの男啀(いが)むかな |
65 | 婚の日の若葉に開く白い窓 |
66 | 鮎を焼く煙の中の寿命長(いのちなが) |
67 | 胸中にしがらみ一つパセリ噛み |
68 | ブルースは港に流れ星涼し |
69 | 天ぷらの鱚反っている夕明り |
70 | 手の中にほほづき一つ又逢はう |
71 | 盆踊り去年の後姿かも |
72 | 「月光」弾く十秒前の静寂に |
73 | 芒野に爆音遠き昭和かな |
74 | 月に乾杯地球傾きつつ廻る |
75 | 軒並に大根干され株暴落 |
TOPへ | |
76 | 達磨の目の力を描きて底冷えす |
77 | 元日や衛星中継ウィーンより |
78 | 初宇宙交響曲の鳴りわたる |
79 | ウィーン鎮まりオペラ座に初日影 |
80 | 初明り青きドナウの漣も |
81 | 金閣寺おもむろに揺れ水の秋 |
82 | 満願に秋風湿る百度石 |
83 | 蔦館ダミアの歌ふ蓄音機 |
84 | 秋日和隣の墓に供花分かち |
85 | 月面にのぼる地球のシンフォニー |
86 | 子午線の昏れ蛸壺に夢一つ |
87 | 新米に指先微微と水加減 |
88 | 歳晩の酌み交はしゐる酒の味 |
89 | 仮の世の歩調賑はす除夜詣 |
90 | 初夢に紙の日の丸高く振る |
91 | 初詣預ひ叶はぬともよくて |
92 | 松の威の風にしたがひ恵方道 |
93 | 港湾に汽笛の交叉明の春 |
94 | 命一つ屈託もなく初鏡 |
95 | 野仏に茶碗の一つ日脚伸ぶ |
96 | 起立する特攻兵に冬怒濤 |
97 | 蕉汁一揆のむかし語るかな |
98 | 寒折の一打響きし大きな闇 |
99 | 黙礼を交はし賑はふ春の墓地 |
100 | 毛糸編みまだ越えられぬ母の齢 |