萬翠荘 ホームに戻る|俳句の殿堂TOP|~俳句の殿堂~ 宇宙
宇 宙(ウチュウ)
結社理念
主張=「宇宙」即ちコスモスである。
即ち秩序と調和である。無限の可能性と有限の理性を失わない俳句を志す集団。
「宇宙」には夢があり明日がある。
主宰者
島村 正(シマムラ タダシ)
昭和18年8月20日静岡に生まれる。
昭和39年「七曜」堀内薫に師事。のちに七曜賞受賞。昭和42年「天狼」山口誓子に師事。のちにコロナ賞受賞。
平成5年「宇宙」創刊主宰。
【句集】
『母港』『一條』『燈台』『天地』『歳華悠悠』『自註島村正集』『無双』『有情』『未來』『永却』『冠雪」『富士』『伊勢』
【評論集】
『誓子山脈の人々』など。
この間に誓子選の<海上に富士より高き雲の峯>の一句が、のちに朝日俳壇、「入選句でたどる戦後半世紀」27句の一句に選ばれる。
掲載の百句は、第六句集『無双』(文學の森)より
連絡先
住所
〒422-8032 静岡県駿河区有東1丁目10-18
〒422-8032 静岡県駿河区有東1丁目10-18
FAX
054-282-3342
054-282-3342
主宰の100句
1 | 土用波きのふの海に立ちあがる |
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2 | 八方に広がる富士の花野かな |
3 | 花野にて少しく妣(はは)と遊びけり |
4 | 雪富士の真上に月のブーメラン |
5 | 勝独楽の身に覚えなき瑕瑾かな |
6 | 少年の深き一礼寒稽古 |
7 | 寒垢離の光背として虹かかる |
8 | をちこちを耕す富士の裾野かな |
9 | きさらぎの星空の星みな潤む |
10 | 春泥の道より他に道はなし |
11 | 滴りは巌の涙かも知れず |
12 | 海上に一舟もなき良夜かな |
13 | 穭田の条理植田と異ならず |
14 | 揺さぶって松葉を落とす松手入 |
15 | 伏兵は身辺にあり鴨の陣 |
16 | 十年に一度の決意ふところ手 |
17 | 骰子に赤き賽の目大旦 |
18 | 鴨のこゑ蘆荻(ろてき)の風にかき消さる |
19 | きさらぎの雨夜の星が誓子星 |
20 | 初蟬のこゑを歓声とぞ思ふ |
21 | 蟬しぐれ蟬に懶惰の声はなし |
22 | 滝口に水の雄叫び落ちて来る |
23 | 十指もて硯の海と山洗ふ |
24 | 台風一過蒼天に瑕瑾なし |
25 | 神島は沖にしぐるるばかりなる |
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26 | 寒星は漁り火よりも遠からず |
27 | 一寸の幸一寸の福寿草 |
28 | 具の中に媚薬の混じる闇汁会 |
29 | 白梅に応へ紅梅ほころびる |
30 | 御佛に額づく寺の臥竜梅 |
31 | 雛の日の雛の全き微笑かな |
32 | 鳥雲に乞丐(かたい)となるもいとはざる |
33 | どこまでもつづく汀線明易し |
34 | 洗眼に洗心によき谷若葉 |
35 | しんねこの闇に螢が火を点す |
36 | 宣誓のごと初蟬の声がする |
37 | 期せずして咲く紅白の蓮の花 |
38 | 濁流が濁流を押す出水川 |
39 | 飛魚が飛ぶ円盤の海の上 |
40 | 夕立のあと蟬声の火急なる |
41 | 暦日のなき山中に厄日かな |
42 | 何時も案山子は遠を見晴るかす |
43 | すがれずに徒花となる曼珠沙華 |
44 | 盤石のごと藁塚の動かざる |
45 | 北窓を塞ぎこころの窓ふさぐ |
46 | 白鳥の未だ日本の汚れなし |
47 | 毛衣の美女に野獣が口説かるる |
48 | 初富士の八百八沢雪の富士 |
49 | 雲上に聳然として雪の富士 |
50 | 阿羅漢の黙寒鯉にのり移る |
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51 | 遠山はさて菩提寺の山笑ふ |
52 | 紅白の梅を二親として仰ぐ |
53 | 一対のもの雛壇にかく多し |
54 | 払暁の星天仰ぐ誓子の忌 |
55 | 海舟の庵に維新の松の芯 |
56 | 禅寺に石庭の海明易し |
57 | 瀨頭の鮎を瀬踏みに釣り上げる |
58 | 濡れ色の火を点したる初螢 |
59 | 就中熊蟬のこゑ火急なる |
60 | 炎天に孤立無援のひと強し |
61 | 帰省子の日がな惰眠をむさぼれり |
62 | 蓮田の浄土に立てる雲の峯 |
63 | 青天の霹靂といふ厄日かな |
64 | 緩急に水平に飛ぶ赤蜻蛉 |
65 | 優遊と飛ぶ先達の草の絮 |
66 | 穭田の稲穂はなべて粃(しいな)なる |
67 | 峙ちて雲表をつく雪の富士 |
68 | 泰西の名画にもなき雪の富士 |
69 | 未明より的皪として雪の富士 |
70 | さきがけて暁光を浴ぶ雪の富士 |
71 | 日の本の国に無双の雪の富士 |
72 | 一点の暖色もなき雪景色 |
73 | 遺跡野の精さみどりの蕗の薹 |
74 | 出遅れしことに臆せず蕗の薹 |
75 | 配剤として紅白の落椿 |
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76 | 極星の永久の輝き誓子の忌 |
77 | 天下人さながら城の花を愛づ |
78 | 晶々として長汀の明易し |
79 | 新世紀前に卯波のたちあがる |
80 | 肌色の水着素肌と見紛へり |
81 | あかときに咲く発心の蓮の花 |
82 | 転覆の訓練もする舟遊び |
83 | 千年の時空を超えて滴れり |
84 | はらわたのなきかなかなのこゑすずし |
85 | 集落の要の寺に小鳥来る |
86 | 霊山の霊気の宿る月夜茸 |
87 | 流れ星身丈に余る軌跡かな |
88 | 船檣の高きに海の虎落笛 |
89 | 寒暁の富士より後光差し始む |
90 | ちちははの如し二輪の返り花 |
91 | 一年の掉尾を飾る雪の富士 |
92 | 彩雲のかかる大富士大旦 |
93 | 遠目にも夜目にも白き雪の富士 |
94 | 帆船は洋上の華年迎ふ |
95 | 北斎の富士に寒濤たちあがる |
96 | 内濠はさて外濠の水温む |
97 | 終息に近づく芝火とぞ思ふ |
98 | 雪富士を光背として雛飾る |
99 | 誓子忌に百景一の雪の富士 |
100 | 青富士に点睛として雪残る |