萬翠荘 ホームに戻る|俳句の殿堂TOP|~俳句の殿堂~ 俳句同人誌 天荒
俳句同人誌 天荒(テンコウ)
同人理念
天荒は荒蕪と混沌の中から出発し、新しい俳句の地平を拓き創造への挑戦を続けます。
代表者
野ざらし 延男(ノザラシ ノブオ)
1941年生まれ。
1988年「天荒会報」創刊、1998年同人誌「天荒」創刊、代表・編集を務め現在に至る。沖縄タイムス「タイムス俳壇」選者歴任。
【著書・句集】
『沖縄俳句総集』(沖縄タイムス出版文化賞)・『秀句鑑賞ーータイムス俳壇10年』。生徒と教師の合同句集『脈』
(日本詩歌文学館奨励賞)・『心弦』・『俳句の虹』・天荒合同句集『金環食』・『天蛇ーー宮古島』・『薫風は吹いたか』(沖縄女子学園共著)ほか多数。
【表彰】
沖縄タイムス芸術選賞大賞(文学)・沖縄タイムス教育賞ほか。
連絡先
住所
〒904-0105 沖縄県中頭郡北谷町字吉原726番地11
〒904-0105 沖縄県中頭郡北谷町字吉原726番地11
電話・FAX
098-936-2536
098-936-2536
代表の100句
1 | 疑惑なお深む鼠骸にたかる蟻 |
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2 | 酷使の耕馬は寝つけず遠くに撃破音 |
3 | 黒人街狂女が曳きずる半死の亀 |
4 | 白昼テロ百姓己は蛇殺す |
5 | 澄み切るまで蝌蚪爆音の田に泳ぐ |
6 | 首振るたび鳩の目かげる出兵音 |
7 | 太陽を転がす地の果ては俺の故郷 |
8 | ネクタイが首絞め戦争(いくさ)の影動く |
9 | 炎天の鍬振る一代のみの土地 |
10 | コロコロと腹虫の哭く地球の自転 |
11 | 深閑と繭織る修羅の目の病棟 |
12 | 指紋の溝から出血はじまる拒否の旅 |
13 | 野火ひろがる胸に琉球焼かれいく |
14 | 縄跳びの輪の中基地の子らただれる |
15 | 五指は樹間の暗さ水ほろほろ泣く |
16 | 島売られる螢皓皓目に刺さり |
17 | 影を食べるなめくじ鈍痛ついてくる |
18 | キャベツの深部に水湧く音色妻眠る |
19 | 母は蟹ひらたく水に老いていく |
20 | 父母うすく眠るしくしく切り身の紙 |
21 | 指紋走る山川草木萎え臨終 |
22 | 夕日つつけば壊れてしまう乳母車 |
23 | 地に近く満月走る草たてがみ |
24 | 蝉時雨血がひいていく草の束 |
25 | 黒板はかなしい突端行き倒れ |
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26 | 年月が消えるごうごうボタンの穴 |
27 | 光年の涙線上のかたつむり |
28 | 日向ぼこ影の発する棒状悲鳴 |
29 | 梯梧ゆする闇がぼろぼろ剥げてくる |
30 | 梯梧落花わが断念の色のまま |
31 | 水中から影呼ぶ少年悲悲悲唖唖 |
32 | 岩ぶよぶよ嬰児ぶよぶよ地球抱く |
33 | 天霊のごとく地へ降る雨の子ら |
34 | 一本の滝持ち歩く乱射鏡 |
35 | 火の粉浴びわれら向日葵の黒種吐く |
36 | 青波脳波人体きざむ琉球弧 |
37 | 波笛生み星雲生み島の夜明け |
38 | 教室に月光あふれ翔ぶ椅子ら |
39 | 滝はわが背びれ星雲湧きたたす |
40 | ふふっと海ひゅっと月どどっと家郷 |
41 | 百合岬りんりんと風りんりんと父母 |
42 | 月の岬ヤシガニわたる弾奏波 |
43 | 月入れて鷹の眼となる通り池 |
44 | イジュでいご咲きこぼれ火照る夢路 |
45 | ひりひり海きりきり落喗くくく鷹 |
46 | 土星のリングへ蒼い脳波の蛙とぶ |
47 | 雨中サッカー君ら打楽器のしぶき |
48 | 海ぶどう月にはじけて蟹座ふる |
49 | 火の匂いの生木あなた螢ですか |
50 | 惑星の軌道狂わす甘蔗(きび)倒し |
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51 | ししししし螢に乳房ありますか |
52 | ガジュマルの全翅はばたく満月光 |
53 | 波いちまい月桃ひとふさ夢百夜 |
54 | 飽食の百句ころがるはははは刃 |
55 | ぐぐっと海ぱしっと鰹はらり空 |
56 | 月滾々夢路紺々刳舟(サバニ)航く |
57 | 縄梯子ゆれる核世の鷹の舞い |
58 | 夕日ぐぐ満月くくく百合よ鳴れ |
59 | 天蛇(テインバウ)跳ね鳥化の岬初日鳴る |
60 | 麻痺つづく裸眼に近づく火星食 |
61 | ゆりでいご東西にゆれ島を漕ぐ |
62 | 鼓膜の海に弦張る初日病歴断つ |
63 | 蟻ら蛆ら鉄粉のごと走る書痙 |
64 | 初電話地球をどこへ転がすか |
65 | めくられるキャベツのめまい闇動く |
66 | 甘蔗(きび)青波ニライカナイの星跳ねる |
67 | あめあめあめ水の乳首は眠れない |
68 | 大海の振子の夕日へ跳ぶ蛙 |
69 | 慰霊の日刃の川が闇捌く |
70 | 青空に穴をふやして散る梯梧 |
71 | 鎮魂の月焦げ山羊の喉笛鳴る |
72 | アメンボー島の夜明けの空磨く |
73 | 点睛のルリハコベ摘む星を摘む |
74 | 桜滅ぶさてどの闇から身を抜くか |
75 | 春雷の尾を踏んだのか乱れ髪 |
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76 | すずめすずめ地のさざなみの虹の罠 |
77 | 白昼の銀河泳いできた素足 |
78 | 水の星火の星乳首尖らせて |
79 | 台風眼鞘走らせて父母寝るか |
80 | 日傘の母の破鏡のこだま井戸が鳴る |
81 | サイコロの7が出そうな山笑う |
82 | 青空をたたんで柩に母を入れたか |
83 | 枯れ枝が銃身になる鬼餅寒い(ムーチービィサ) |
84 | 潮騒の螢ら 流星の切株ら |
85 | 串刺しの月いかがですか二月風廻り(ニンガチカジマーイ) |
86 | 銀河まで杭を打つのか基地キチバッタ |
87 | 天涯に足をはみ出し昼寝覚め |
88 | 無季有季どちらでもいい空を抱く |
89 | 空蝉の背割れは誰の絶叫痕 |
90 | 肩にとんぼ破案山子になってみるか |
91 | うりずん南風(べー)裸身さえずるまでしぶく |
92 | しずく一滴水惑星の死期計る |
93 | 鍬寝かせ天地返しの土の笑み |
94 | みそぎのごと山ひき絞る樹幹流 |
95 | 蚯蚓鳴く内部被爆の島の闇 |
96 | 迷彩服の空墜ちてくる亀甲墓 |
97 | 自決の海の火柱となり鯨とぶ |
98 | 飛龍羊歯金環食を転がそう |
99 | うりずん南風(べー)∞(むげんだい)に横たわる |
100 | 有季の海人魚は無季の川のぼる |