俳句の殿堂

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天日(テンジツ)

結社理念

天日冊子
高濱虚子に学び、21世紀という時代を意識した結社・俳誌を目指す。そのキーワードは、「知縁社会」と「地球環境」である。それはまた、伝統俳句の大道を歩くことでもある。
投句者からの次のお便りをもって、結社の理念の代弁としたい。
「俳句を始めてよかったのは、一瞬の時を愉しみ、人への優しさも増したように思う日々が過ごせることです。」

主宰者

天日主宰 上迫 和海
上迫 和海(ウエサコ カズミ)
1962年、鹿児島市生れ。
早稲田大学法学部卒。大学在学中より「ホトトギス」「郁子」に投句。2000年2月、全国最年少のホトトギス同人。05年より俳誌「天日」主宰。平成23年度鹿児島県芸術文化奨励賞。

【句集】
『四十九』(南方新社)

現在、異文化教育研修所有隣館代表、日本伝統俳句協会鹿児島県部会長、鹿児島県俳人協会評議員、日本語教育学会会員。

連絡先

住所
〒890-0052 鹿児島市上之園町20-26 都喜和ビル3F
FAX
099-255-3519

主宰の100句

1 スペインの熱き秋日になす決意
2 ポケットに歳時記ひとつ春を発つ
3 少年は駆け春光にまみれけり
4 観音の肩のあたりの冬日かな
5 風を得て大地を渡る花の屑
6 若竹の揺らぐ高さに伸びてをり
7 芭蕉林昼の暗さを抱きをり
8 大雪を被り万物共にあり
9 黒南風の猛りつつ夜のなほ暗む
10 それらしく思ひつつ聞く行々子
11 雑木には雑木の色の黄葉かな
12 夜桜に動かぬ闇の残さるる
13 五月晴にて始まれり吾子の日々
14 ふつくらと寝足りたる子の初笑
15 暮しより少し華美なる初ひひな
16 連山の冬に小さき吾子の生
17 水音は水の存問水澄めり
18 七五三錦の鯉を見て遊ぶ
19 青空の広き時雨でありにけり
20 花と居て子と居てただの日曜日
21 安堵して少し孤独の木下闇
22 秋水は流れ日差はとどまりて
23 父親を登つて下りて子の夜長
24 落花して深山の土へ行きつきぬ
25 手をつなぎ夏潮の端に足浸す
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26 しら雲の無きも浮かぶも秋日和
27 山に湧き山湖を沈め山の霧
28 冬野中句碑は石へと還る日々
29 燃え残るものに色あり飾焚く
30 万の鶴戻り終へたる空に夜
31 どんぐりを持ち替へつなぐ手を替ふる
32 行厨の八方天地花の影
33 子の視線にはよく見えてつくづくし
34 夜道来て蛍火二三見れば足り
35 引鶴に動かぬ山のありにけり
36 新緑やすでに大樹となる兆し
37 下闇をうさぎの墓に案内さる
38 空蟬の身の内を吹く山の風
39 鮎落ちてゆく水音のなかりけり
40 春の土はびこるものをみな許し
41 蜘蛛の囲に光の秩序生まれけり
42 山陵の昼の声としきりぎりす
43 枯菊となりきらざるも焚かれけり
44 風邪に臥し見る夢尽きてしまひけり
45 ふきのたう一年生の手の小さく
46 亀鳴くや無為のひと日を有意とす
47 行雲の白さも距離も夏野なる
48 大空の威儀の崩れず去年今年
49 母と来しかの日のやうに梅白し
50 メーデーに遠き半生過ぎにけり
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51 樗咲く藤の咲くそんな色の頃
52 早春や心は一歩先にあり
53 箱出でてひひな大きくありにけり
54 一湾を泳ぎ渡りし潮雫
55 手花火に照らさるる顔大人めく
56 受験子に未来それぞれありぬべし
57 秋水に時の流れてをりにけり
58 三日目にして鈴虫といふ音色
59 平らなる春の大河を渡りけり
60 鴬や熔岩の広さを遠く鳴く
61 我が影の明るく歩く春の浜
62 枯蟷螂失ひし色目に宿す
63 日の射せばまた雪を恋ひひと日かな
64 卒業や語り出す過去少しあり
65 花の黙風のゆらぎのあるときも
66 薔薇咲いて人の言葉を引き出す
67 咲ききれぬものは汚れて未草
68 冬ざれや島に昔の道多し
69 味噌ラーメンすすり息子のクリスマス
70 七変化母の色とし今ありぬ
71 まみゆるは易し涼風ある限り
72 四十まだ伸びる余地大雲の峰
73 滝を去りつつありふれし水となる
74 少年に夜々覗かれて兜虫
75 クリスマス昼のデートが子の話題
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76 よく掃かれあり落椿ひとつあり
77 公転も自転も止めず水ぬるむ
78 天へ向く朴の花とは遠きもの
79 天日に寄りつつ鷹の小さくなる
80 木が少しあつて秋日を詩となせる
81 肩になほ解けぬ緊張大試験
82 絵の好きな子に拾ふなり桜貝
83 木々に来て薫風光るものとなる
84 粒ひとつづつ新米でありにけり
85 四月号編集会議桜餅
86 風音も呑んで山火の音となる
87 その先の海も踏めさう青き踏む
88 風吹けば彼女歩けば銀杏散る
89 累々と墓碑に背のあり御代の春
90 我が息の白さよ我の道に我
91 宇宙恋ふ春満月に生まれし子
92 身を返す鹿の大地を蹴る響き
93 天日のゆるぎなき日の花の風
94 水よりの風山よりのほととぎす
95 ハンカチの想はぬ色を取り出せり
96 潮騒に出でて星月夜に入りぬ
97 稲刈るや人なきときは日とともに
98 また何か持ち来る父の焚火かな
99 古暦ミッキーマウス老いずあり
100 年守る子ら子の時代過ぎむとす

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