萬翠荘 ホームに戻る|俳句の殿堂TOP|~俳句の殿堂~ 手
手(テ)
結社理念
周りに優しい目を向け心豊かに過ごしましょう。
俳句作品は「多作多捨」をすることで表現力が豊かになると思います。月に20句主宰の選を受け少なくとも10句を残せる作品作りをしましょう。
また結社誌「手」の好きな作品を暗記するほど読むことで会員同士が理解を深め、切磋琢磨する環境が出来ると考えます。
信条は「作品自然とのかかわりの中で強く優しく純粋に」。
主宰者
松本 ヤチヨ(マツモト ヤチヨ)
昭和18年生まれ。伊藤通明主宰「白桃」同人。
白桃賞・角川俳句賞受賞。平成16年11月隔月刊俳誌「手」を刊行主宰。
俳人協会賞選考委員。文芸家協会会員。
【句集】
『鐘』『曼珠沙華』『手』
【アンソロジー句集】
『海流』
連絡先
住所
〒811-1294 福岡県筑紫郡那珂川町片縄東1丁目17-16-901
〒811-1294 福岡県筑紫郡那珂川町片縄東1丁目17-16-901
主宰の100句
1 | 焚口に母の声ある初湯かな |
---|---|
2 | 裏白の縮みし飾り納めけり |
3 | 武道場に弓張る音や梅の花 |
4 | 急流のはじきだしたる紅椿 |
5 | 囀りのやがて神楽の舞台まで |
6 | 風船につけし手紙の返事来る |
7 | 病院の匂ひのままに蛍狩 |
8 | 水馬あしぶみをして後退す |
9 | 父のこと母に質ねて麦の秋 |
10 | たてがみに隠るる馬や月見草 |
11 | 前足に蝉の重心ありにけり |
12 | 庭園の山の一角小鳥来る |
13 | うたた寝に秋の蝉きて鳴きにけり |
14 | 十月の鐘のみどりを筑紫かな |
15 | 鰯雲玄海灘を出発す |
16 | 真夜中や母の布団に波の音 |
17 | 指で拭く窓まんまるの雪景色 |
18 | 食積や父に似し子と母似の子 |
19 | 父さきに打つて見せたる土竜打ち |
20 | 大寒の波を炎と見て立てり |
21 | ふらここを漕ぐ玄海の見ゆるまで |
22 | 牛の口横に動けりうまごやし |
23 | 老僧に女の客や春障子 |
24 | 山を恋ふ日なり衣を更へにけり |
25 | 蛍狩二つ返事に約しけり |
TOPへ | |
26 | 花火する明日退院の少年と |
27 | 水遊び川の中よりさそはるる |
28 | 青竹の撓ひて重き土竜打ち |
29 | 寒鯉を上ぐるに水のついてきし |
30 | 泥のグランド跳んで合格告げに来し |
31 | 一握の花一塊の花筏 |
32 | 二人子に書置き二つ桃の花 |
33 | 春雷の出口は海の底なりし |
34 | 念ずれば唾蓮鯉となりにけり |
35 | 水音の同じ重なり作り滝 |
36 | 簗打ちの父帰り来て土間濡らす |
37 | 夕立の山動かして来たりけり |
38 | 一羽づつ降り来て群るる稲雀 |
39 | 子のそばに白衣着て立つちちろ虫 |
40 | 一燭に秋風の道ありにけり |
41 | 火だるまの花鶏頭となりにけり |
42 | 新しき白衣の折目天高し |
43 | 一羽とぶみな飛ぶすずめ雪となる |
44 | 積もるだけつもりて雪のやみにけり |
45 | なかばよりは母加はりし手毬唄 |
46 | 玄海に濤の上がりし弓始 |
47 | 襖絵の山を開きて寒月夜 |
48 | ありあまる日のあり桃の咲きにけり |
49 | 青空にさくらの色のもどりけり |
50 | 留守番の子に雀来る豆の花 |
TOPへ | |
51 | 棟上げの餠のとびくる薔薇の中 |
52 | 胸に来て火を収めたる蛍かな |
53 | 羽抜鶏抜け羽の中にねむりけり |
54 | 手囲ひの言葉短し百日紅 |
55 | 枇杷熟るる袋のずれしところよし |
56 | 玄海を源流として天の川 |
57 | 鹿の肉出されて鹿の貌思ふ |
58 | 鶏の新藁つけて来たりけり |
59 | 母恋ふを弱気と思ふ草の花 |
60 | 新米の箱のゆがみて届きけり |
61 | 立冬や死につく人にねぎらはる |
62 | 虎落笛星の数ほど看取りしよ |
63 | 紅梅や一にはじまるかごめ歌 |
64 | ぞんぶんに海みて帰る初詣 |
65 | 望むこといつも正面二月来る |
66 | 九十の父が故郷に梅真白 |
67 | 種を蒔く父の大きな手を継ぎし |
68 | 葬列に耕人の礼深かりし |
69 | 船洗ふ男ずぶ濡れ燕来る |
70 | 波音も父亡き部屋も朧かな |
71 | 腰曲げしまま歩き出す草取り女 |
72 | はづすとき風鈴のよく鳴りにけり |
73 | 正直な己うとまし墓洗ふ |
74 | しづむもの沈めて水の澄みにけり |
75 | 実を一つ雨粒一つ三帰来 |
TOPへ | |
76 | 淡雪や髪を束ねしビオラ弾き |
77 | 寒波来る馬に青空ありにけり |
78 | 闇に目の慣れて涼しくなりにけり |
79 | 本流に海を見てゐる盆の父 |
80 | 父母のこといつも心に曼珠沙華 |
81 | 種を採る鶏頭ときめ括りけり |
82 | 検温に来て梨剥きをたのまるる |
83 | 水鳥の水をはなれてうづくまる |
84 | 愛告ぐるときは白鳥の羽ひろぐ |
85 | 点滴をする手よ餠飾りし手 |
86 | 海に来て機嫌直りし晴著の子 |
87 | 寒紅ひく屍の口をゆがめては |
88 | 立春満月仏拝して戻りけり |
89 | 父おぼろ補聴器ぎらひ通しけり |
90 | ふらここにのせ九十の父揺らす |
91 | 関門の波の尖れる雛祭 |
92 | 裏口は母待つところ春の風 |
93 | 種馬の隆々たるを見て汗す |
94 | やや右手長しと思ふ平泳ぎ |
95 | 砂埋めにされてゐたりしサングラス |
96 | 極まれば泳ぐ形や盆綱引 |
97 | 名月や記憶の海の荒れてゐし |
98 | 焼栗を片手に開くパリの地図 |
99 | 葬列に日の当たりたる寒さかな |
100 | 母のみの部屋となりたる箱火鉢 |