俳句の殿堂

萬翠荘 ホームに戻る俳句の殿堂TOP~俳句の殿堂~ 樹

(タチキ)

結社理念

樹冊子
自分自身の存在を確認する唯一の手段として、自分の只今、現在を鋭く切りとる。

主宰者

樹主宰 瀧春樹
瀧 春樹(タキ ハルキ)
昭和14年大分県生まれ。
大分県立宇佐高等学校卒業、東京農業大学入学後、「農大俳句」「かびれ」等を経て、「海程」入会。
平成4年5月「樹」創刊。句集は共著等を含めて15冊、エッセイ集1冊、瀧春樹俳書展4回、現代俳句作家色紙展等、大分県現代俳句協会会長。

連絡先

住所
〒871-0101 大分県中津市三光森山627
FAX
0979-43-5323

主宰の100句

1 紫陽花の首斬り落す信長忌
2 守宮鳴く月も地球も青いから
3 突っ立って四の五の言うな秋桜
4 塩壷が丸ごと見える雁渡し
5 国家より今日の夕飯鳥渡る
6 国亡ぶ拾うに落穂などなくて
7 一筆箋ほどの明るさ梅開く
8 風花や針にもパンにも耳がある
9 祖母山・傾山日を没れ蒼い獣の目
10 風花や噂が針孔をすり抜ける
11 土筆食って少しは痩せたことにする
12 連山も言葉も霞む桜かな
13 妻哭くな饐えるよ飯も脳味噌も
14 億年の記憶を紙魚の走りかな
15 勉強は嫌いだったよ蕗をむく
16 炎天へ綱引き合える天邪鬼
17 糟糠の妻白鷺に眠りの樹
18 妻がいる田水のように朝が来る
19 蝮割く白桃のごと妻を置き
20 戸籍などなくて親子よ雲母虫
21 死ぬまで戦後秋冷へ割木積む
22 音痴また痛快であり大花野
23 横車通れば尖る秋刀魚の口
24 踏外す道もありけり曼珠沙華
25 夢にまで出て追いつけぬ花野かな
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26 傍惚れと笑え故山の実紫
27 紫蘇の実や吾にも妻にも二十の指
28 箱の中では箱のかたちでいる正月
29 毒嚥むも口吸うもよし牡丹雪
30 初潮はまだか九州に雪降りだす
31 風花や山より尖る牛の背
32 炒り豆を噛んで寒月毀している
33 百姓(たずくり)に多き濁声畦を焼く
34 逢える欣快冬虹の輪に機影
35 逢えば滾る生血なりけり寒椿
36 ヒトは屁を浅蜊は砂を吐き生きる
37 あの舟に乗りたくて酔う花の雲
38 いわゆる戦後スカイツリーの蝸牛
39 蛇の蛻に残る湿りよ人妻よ
40 大落暉蜷も蝸牛も素足かな
41 空蝉の目玉地球は燃えている
42 死ぬまでも死んでも戦後青蔦満つ
43 鉛筆も三角定規も秋の晴
44 噴水は被爆の空を折り返す
45 男にも妬心ダム湖にない渚
46 海へ陽を砕く椿の実が割れる
47 雑兵の墓碑は俗名雁渡る
48 人になき水掻鳥になき乳房
49 落し難きものに身の錆枇杷咲けり
50 鷹の爪熟れたり朝寝していたり
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51 黒文字の片方尖る草団子
52 瞑捜を解くアマゾンを渉り終え
53 子規・不折糸瓜に花の根岸かな
54 扇面の滲む印泥夏来る
55 樹木にも雌雄大暑の石佛
56 茶柱の傾きほどの涼来る
57 阿蘇五岳蜂の子に首なかりけり
58 白桃や逢いたくて慟哭逢えば感涙
59 夕鮎の雲甲斐駒を離れざる
60 雪膚の如き剃り跡秋を惜しみけり
61 花つけて茗荷に幽き湿りかな
62 実柘榴や縄文人の美し歯並み
63 海鼠にも尾頭日毎錆びゆく脳
64 狂い花犬睾丸を振り歩く
65 龍の玉犬にも猫にも臍がある
66 匙量ほど愛あれば足る龍の玉
67 抱擁を解くな活断層がずれる
68 鳥獣に骨格確か春来たる
69 蝌蚪に肢核兵器など要りません
70 肺蒼き論客もいて花に酌む
71 亀には乾く甲羅花には散る自由
72 羅や雑魚に腸透くあわれ
73 原爆忌虫の屍を蟻が引く
74 暗然と月下の墓標村痩せる
75 東日本3・11 2:46
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76 春の日を存分に浴び被曝の菜
77 官邸に弔旗 被曝の水は海へ
78 花吹雪万の弔旗が風に鳴る
79 被曝者に死者に吹雪の鞭が鳴る
80 禽獣に被曝の水を飲む他なし
81 牛産むか被曝の朝日目に染みる
82 花も菜も被曝投棄の乳搾る
83 夏草や強制避難という疎開
84 身に毛布纏い閑歩の黙 痛い
85 鍋釜棄て村捨て疎開の列に就く
86 被曝遺伝の虞れ河童の皿乾く
87 蝸牛被曝の翳を濃く曳けり
88 ビルどれも瓦礫予備軍溽暑来る
89 春北風遺体のどれも歯真っ白
90 炎天の村去る不明の娘を置いて
91 「福島」に復りたい白曼珠沙華
92 地球丸洗いして「福島」に復ろうよ
93 仮設住居の月来客と仰ぐ月
94 瓦礫にはならぬ人心雪降り積む
95 雪風巻く「津軽てんでんこ」とう絆
96 フクシマや俺に翼のなく寒い
97 国中の桜を供華にみちのく忌
98 折り鶴を解けば紙片震災忌
99 東電や田水に狂う蜷・田螺
100 七輪をはみ出て秋刀魚の目に涙

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