俳句の殿堂

萬翠荘 ホームに戻る俳句の殿堂TOP~俳句の殿堂~ 空

(ソラ)

結社理念

空冊子
俳句は抒情。その抒情は甘く流れるものではなく、地の底を流れる水のように深くありたい。志を高く思いを深く。
自分の俳句を研磨する自在な場としての「空」で、各自が進むべき方向を見出し、作品を高めることを目標とする。

主宰者

空主宰 柴田 佐知子
柴田 佐知子(シバタ サチコ)

  • 1949年 福岡県に生れる。
  • 1986年 伊藤通明に師事、「白桃」入会。
  • 1989年 第5回白桃賞受賞。
  • 1993年 第7回俳壇賞受賞。
  • 1995年 第25回福岡市文学賞・白桃同人賞受賞。
  • 1999年 白桃同人賞・第3句集『母郷』により第22回俳人協会新人賞受賞。
  • 2003年 白桃編集長を辞し「空」創刊主宰。

【句集】
『筑紫』『歌垣』『母郷』『垂直』

「空」主宰
俳人協会評議員、日本文藝家協会会員

連絡先

住所
〒812-0053 福岡市東区箱崎3-15-29
FAX
092-631-0789

主宰の100句

1 秘すことのはじめ手毬を背に廻し
2 初湯して恋の傷など一切無し
3 輪飾の歪み正して火に投ず
4 海鳴りを力としたり弓始
5 如月や駿馬を更に磨きあげ
6 玄海に烽(とぶひ)の道や黄沙来る
7 金印の島月光の道ばかり
8 黄雀風僧も神父も海を越え
9 濡れし目はまだ海のもの桜鯛
10 流れつく海底に雛あまた立つ
11 胸の火も放ち螢の夜なりけり
12 レース編む夜とぶ鳥を思ひつつ
13 逢へぬ日の水打つ更に遠く打つ
14 飛魚の一尾は空に消えしまま
15 正座して正視して涼新たなる
16 枝豆や実なき男捨てるべし
17 一滴の大きく夕立来りけり
18 堕ちてゆく快楽思へり蟻地獄
19 ひろがりて月を入れたる踊の輪
20 芒野や声にしてみる相聞歌
21 鰯雲ひらがな母に教はりし
22 火を吐いて神楽の大蛇前へ前へ
23 リラ冷えや双手はおのれ抱くことも
24 煤逃の父饅頭を買うて来し
25 はなびらの上にひろげし花筵
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26 踏青やひとりを佳しと思ふまで
27 桜鯛百畳の間を進みけり
28 春雷やいきいきめぐる悪女の血
29 蛇過ぎし道のしばらく動きをり
30 十薬を干して日暮のやうな家
31 わが身もて汝が形代となるも佳けれ
32 遠泳の終りは海を曳き歩む
33 水打つて家がきちんとしてきたり
34 打首の姿に髪を洗ひけり
35 白桃の水よせつけず洗はるる
36 マフラーを巻いてやるすこし絞めてやる
37 美しくなければ雪女にもなれず
38 母老いて霞の通ふ体なり
39 立ち止まるとき垂直の遍路杖
40 大鯉は大きくめぐる桜かな
41 父ははに同じ夕暮桃の花
42 千手仏千の螢を放ちけり
43 進むとき蛞蝓すこし痩せにけり
44 神いつも正面にあり麦の秋
45 蟻地獄すべりし跡は砂が消す
46 死ぬほどの恋して死なず白上布
47 峰雲の中ほどに吊る小鳥籠
48 日記には書かず忘れず髪洗ふ
49 瀧壺にしぶきて瀧の収まらず
50 血族の寄り来てすぐに素足なる
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51 篝火に道の伸びゆく虫送り
52 夕花野歩むは売られゆくごとし
53 満月や鬼には鬼の女房ゐて
54 闇汁に龍の鱗を入れたると
55 冬ざれや空ゆくときの鳥の脚
56 窮屈な柩を思ふ霜夜かな
57 墨を磨るときの放心雪が降る
58 母よりも箒が高し冬桜
59 人間を沈めて白し花の山
60 梅干して死に絶えしごと昼の村
61 東方は賢き方や青葡萄
62 浮人形どこへも行けず浮き上がる
63 鶏が勝手に鳴いて茄子の花
64 近づくと色のはみ出す金魚玉
65 頭からまつすぐに蛸泳ぎだす
66 夜は色を手放してゐる曼珠沙華
67 少しづつ忘るる父に小鳥来る
68 満月や刺し違ふるは抱くごと
69 そのあたり引きずつて蛇穴に入る
70 殺すほど愛してをらず林檎むく
71 猪の短き脚の縛らるる
72 秋風や昔どこでも釘を打ち
73 火を消して黙つて帰る消防車
74 月光のとどく限りをこの世とも
75 国境はすべてわたつみ石蕗の花
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76 吹きさらしなる漁神の鏡餠
77 繭玉の触れたるのみに母揺らぐ
78 誰ひとり乗する気のなき宝船
79 輪飾の楪とばす灘の風
80 死ぬまでと誓ひて淡くなり霜夜
81 三食に薬が付いて父の冬
82 煮凝に一夜の闇の詰まりをり
83 介護の手また洗ひをるクリスマス
84 みな丸き雀の頭日脚伸ぶ
85 流し雛行けるとこまで行きまする
86 天上を見しは束の間流し雛
87 水遊び水ちらかしてみな消えし
88 負鶏のかき消すごとく連れ去らる
89 持ち上げし猫がだらりと夕桜
90 思ひ出のところどころに犬ふぐり
91 桜鯛鱗飛ばしてややくすむ
92 蛇死して正しき長さ曝しけり
93 羽抜鶏怒り収まるまで走る
94 一切を断ちて山椒魚の貌
95 何もなき道に雀や朝曇り
96 箸止めて父が見てゐる白雨かな
97 ゆく秋の炎に父をあづけたる
98 能面の裏は月夜の山河かな
99 木枯や羽毛蒲団に鳥何羽
100 父と世を違へて冬の床柱

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