萬翠荘 ホームに戻る|俳句の殿堂TOP|~俳句の殿堂~ 山河俳句会
山河(サンガ)
結社理念
互いの交流の中で、自分と俳句を自由に育て、時代と向き合い現代のあり方を模索し、意欲的な生き方と気高さを俳句に求めて生きたい。
主宰者
松井 国央(マツイ クニヒロ)
昭和16年東京都生まれ。
日本大学芸術学部卒。
昭和33年より小倉緑村・佐伯昭一両師に師事、山河入会。山河賞受賞。
現代俳句協会理事・協会年度作品賞選考委員・東京都区現代俳句協会副会長。
【句集】『汐曇』
連絡先
住所
〒158-0092 東京都世田谷区野毛3-14-12
〒158-0092 東京都世田谷区野毛3-14-12
E-mail
matsui@t08.itscom.net
matsui@t08.itscom.net
主宰の100句
1 | 一月やこぞって他人ばかりなり |
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2 | 正月の過激に立てり己が影 |
3 | 一月や待合室の二月号 |
4 | 球体を裏と表にする初日 |
5 | 正月を雲の如くに寝ていたり |
6 | 満開の花を無題として描く |
7 | 夜桜の追い詰められている白さ |
8 | 身を賭したことなし春の雪降れり |
9 | 男とは退屈なもの朧月 |
10 | 芽木明かり遠流のように馬屋めぐる |
11 | 夜桜を抜けて仮説の中に立つ |
12 | 霞たる神話もどきの平行線 |
13 | 慇懃に杉菜おおかた夢を見し |
14 | 鎌倉や雪のとりまく個の時代 |
15 | カンバスに海女の一人を省略す |
16 | 夏柑のひとつひとつに海遠し |
17 | 勝ち組の中には居ない士竜たち |
18 | 蝋梅に連鎖し老人出来上がる |
19 | 春の水を見ている鳥にない退屈 |
20 | 釘を打つ音水平に来て遅日 |
21 | 山葵田の幾何学的な水の音 |
22 | 春雷の頤島を走らしむ |
23 | 水の輪が重なり合って温みだす |
24 | 受け皿の無き山笑わせておくか |
25 | 父抜けてゆきし網戸を母も抜け |
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26 | 庭石のひたすら石でいる薄暑 |
27 | 紀の国のまず木が動き出す五月 |
28 | 体内に水平を置き山開く |
29 | マニキュアの暮色砲台は裏から饐え |
30 | 紫陽花やみんな好んで疲れている |
31 | 多忙という退屈がある夜の百合 |
32 | 東西へ船行き違い共に灼け |
33 | 白地図に卯波の通る音したり |
34 | 平凡を引き出す分母に蟇蛙 |
35 | 守秘義務のない待合室の金魚 |
36 | 桃買って予報どうりの雨に遭う |
37 | 常温で溶ける楽士や夜の百合 |
38 | 夜の金魚動かぬものの一つなり |
39 | 氷河期の青さに合わす夏時間 |
40 | 一日は桃の歯ごたえほどのもの |
41 | 少年は沖の補色となり泳ぐ |
42 | 海開き時々抗菌性の風 |
43 | 逝くものは逝かせ首振る扇風機 |
44 | 草いきれマッカーサーを掘り当てる |
45 | 万緑を来て無呼吸のシャンデリア |
46 | 百日紅話せば解かりあえますか |
47 | 舟虫のこぞって完了形であり |
48 | 家捨てることも一つや夏の雲 |
49 | 蟷螂の枯れ色になるついでの死 |
50 | 肩幅にフォークとナイフ置き九月 |
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51 | ケイタイの圏外遺憾なく枯れて |
52 | 長月に平行線を仮に引く |
53 | 梨剥くやときどきナイフ我に向く |
54 | 充分に糸瓜のたれている母国 |
55 | 朝顔に触れ一鉢を抽象す |
56 | 彦星やいつまで道徳的なのか |
57 | 天高し角の酒屋へ水買いに |
58 | 十三夜ほとほと白き人の骨 |
59 | 無菌室出るや音なす天の川 |
60 | 病室空く明日は雁が渡りそう |
61 | 秋分や遠い音する水枕 |
62 | 息吸って枯野へ吐いて退院す |
63 | 晴れて予後澄めるとこまで澄める水 |
64 | 砲音のいちいち遅れて来る小春 |
65 | 大銀杏呪い解かれし順に散る |
66 | 起きぬけの事件のようにある熟柿 |
67 | 法師蝉水を均しに来ていたり |
68 | 桐一葉落ちて典型的な午後 |
69 | 烏瓜の試行錯誤に巻き込まれ |
70 | 新涼に決め手を欠いている木馬 |
71 | 煮崩れし南瓜単なる父でいる |
72 | 霧が這う欺いたのは羊たち |
73 | 大笊のものを小笊に分けて冬 |
74 | 晴れきって煙の迷いおる冬至 |
75 | 写実というあいまいな語や冬ざるる |
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76 | 白鳥の愛はみちづれという儀式 |
77 | 大根の唖然と置かれおる真昼 |
78 | 雪降れり戦後世代を巻き添えに |
79 | 寒灯の遠巻きにある旧師団 |
80 | 狼が出そうに鏡磨き上げ |
81 | 雪解音づたいにウラルアルタイ語 |
82 | 厨の灯おとして母の亡い師走 |
83 | 大海鼠刃向かうことのない怖さ |
84 | 真相は見えず大根輪切りにす |
85 | やわらかに彼我の境の末枯れて |
86 | 打つ手無く涸れ河ゆっくり野より野へ |
87 | 一本は道あと一本は冬の川 |
88 | 水洗いして大根を無罪とす |
89 | 海鼠見ていてうしろめたくなり |
90 | 水鳥の番うに足りる間をあけて |
91 | 飾り終えある劇中のようにあり |
92 | 鷺鳴いて何処にも証拠の無い二月 |
93 | 空き瓶の打たれ強くある枯野 |
94 | 鶴の声どれも湾曲する真昼 |
95 | 立冬の午後が逡巡しておりぬ |
96 | 傍流にいて寒星の近くあり |
97 | 燈台の遥かにあれば悴めり |
98 | 水鳥の後に水鳥黙つのる |
99 | 寒林を鳥抜け象形文字のまま |
100 | 飾り終え笑う用意はできており |