俳句の殿堂

萬翠荘 ホームに戻る俳句の殿堂TOP~俳句の殿堂~ 羚

(レイ)

結社理念

羚冊子
一人一派の達成をめざす自己研鑚の集合体を「羚」と称す。

主宰者

羚主宰 金子 徹
金子 徹(カネコ トオル)

  • 1953年 21歳「寒雷」会員
  • 1963年「獅子林」会員
  • 1993年「羚」同人
  • 2002年「羚」代表
  • 2006年 静岡県現代俳句協会会長
  • 2011年 富士市文化奨励賞受賞

【句集】『暁蝉』

連絡先

住所
〒417-0014 静岡県富士市鈴川西町1-17-4
FAX
0545-33-0659

主宰の100句

1 定年という止まり木もある冬かもめ
2 職退いて桜あまりに静かなる
3 春日だけ乗せてゴンドラ降りてくる
4 ぶらんこや故郷遠くなり近くなり
5 新緑をゆっくり回す太極拳
6 青田吹く風も乗り込むローカル線
7 烏瓜どの蔓引いたら踊るやろ
8 冬滝や一枝激しく打たれおり
9 眠る子の野鳥図鑑や雪降りおり
10 千年の呪文ほどけて蝶の羽化
11 首班指名続いて雪崩注意報
12 記憶の失速遠かっこうが点滅す
13 郵便受けにも差し込んである鵙の声
14 街の灯を引き抜いて翔つ最終便
15 寒たまご掌の上に地球の重さ
16 初蝶が触れて魔法が解けてゆく
17 懐かしの蜩を聴く火焔土器
18 枯蔦をたぐれば明治咳けり
19 この夕日どのポケットに入れようか
20 抽出を全部開けたが秘策は無い
21 ここから秋ですローカル線終点
22 幸せそう耳朶に冬日がのっている
23 ひとすじの火縄が奔る霜夜汽車
24 こんな夜も鰓呼吸している活断層
25 混沌が次第に蝌蚪になっていく
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26 這えば野は戦時の匂い草いきれ
27 この町に投網をかけて花火散る
28 正札をつけ春一番が街に来る
29 どんぐり拾う手が少年になっていた
30 よれよれの神と行き交う里神楽
31 稲妻の射程にありて百合匂う
32 自販機の缶リストラのように落つ
33 蛇行する老いさき愉し猫柳
34 岸辺まで来て流木のためらいぬ
35 手の先に憑き物がいる阿波踊り
36 喪の空に繰り返し咲く遠花火
37 湯豆腐を隔て戦火を放映す
38 父を恋う遠い記憶に蟹がいる
39 母居ませば筵に梅をひろげる頃
40 不登校児の開かず窓よ蝉しぐれ
41 周りから暮れて湖心に残る秋
42 雪の夜の予感当たらぬままがよし
43 砲火浴びる地に啓蟄という日などない
44 復員の日の叔父に似て佇つ枯ひまわり
45 戦争展ここは出口か入口か
46 てっぺんに熟柿のように平和がある
47 嬉しくて枯野の貨車が長くなる
48 花の旅終る切符が吸い込まれ
49 どの枝も星とまらせている冬欅
50 富士稜線たてがみとなる雪けむり
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51 皆同じ向きで蝌蚪群れていて怖い
52 追伸につくつくぼうし鳴いてます
53 つかまえた蟹が少年の日を挟んでた
54 青春が標本室にいた蝶のかたちで
55 戦などなくて七草七日粥
56 如月の眉間つやめく阿修羅像
57 花の朝体重計に余命載せ
58 さきがけて咲く詩なべて狐塁の旗
59 後先を絶って拈華の一行詩
60 遠蛙活断層は夜も目覚め
61 地球この母艦の青さ危うさよ
62 ヒロシマや鳴くは被爆の蝉末裔
63 人恋うる胸の振子よ吾亦紅
64 榾火かなしひょっとこもお多福も
65 胸ぬちの吃水線の上がる春
66 象の眼のやさしき涅槃の日なりけり
67 踏切で待つ顔どれも冬の貌
68 凍蝶の死と紙一重なる薄さ
69 北風吹くや右向け右のショベルカー
70 復路なき単線生き来て夏野なお
71 群衆のただ中にあり花の冷え
72 土器破片つなぎ終りて秋全し
73 黄落の銀杏並木よ風の帆柱
74 寒波来るかたまり寄りて通夜の靴
75 蝉鳴いてコップの水を震わせり
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76 神降りたまう町一すじの火の祭
77 湧水を辿れば砂の鼓動かな
78 土偶の目窪みに千古の秋思溜め
79 雪野いま身をよじらせて貨車の来る
80 悲史重ね重ねつ薄墨ざくらかな
81 海に散るさくら底まで降り積もれ
82 葉うらより蝶はがれ翔つ恋少女
83 夏帽子丸めて遣り場のない怒り
84 産土を捨てて楽土がありますか
85 漣に折り畳まれし秋の風
86 トランペット聞ゆる風や銀木犀
87 秋蝶のよろけ止まりし橋欄干
88 枯蔓に絡まり昭和曳き出され
89 裸木となってしがらみ見えてくる
90 寒茜雲に能登あり佐渡があり
91 春灯をグラスに注ぐノスタルジー
92 元旦の全き富士に会う果報
93 あの日あの刻春は激しく息づきぬ
94 春暁の余震慣れせし目覚めかな
95 長らえば昔は近し里桜
96 ゆったりと地の熱扇ぎゆく揚羽
97 とびとびの隧道とびとびの蝉時雨
98 長々と貨車ゆく野辺や秋惜しむ
99 終章は絶唱銀杏並木の黄
100 忘れないそれしか出来ぬ地異の春

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