俳句の殿堂

萬翠荘 ホームに戻る俳句の殿堂TOP~俳句の殿堂~ 桜蔭

桜蔭(おういん)

結社理念

桜蔭冊子
俳句創作の究極のテーマは、人間存在そのものと、それを取り巻く社会の実相である。詠みたい対象に遭遇したとき、自分自身の心に投影され、それに触発されて生れた情趣や想念に従って自分自身の言葉で詠む。

主宰者

桜蔭主宰 増田 守
増田 守(マスダ マモル)
昭和20年神奈川県生まれ。
神奈川県立希望ヶ丘高校卒業後、中央大学入学。同41年弁理士登録、卒業と同時に増田国際特許事務所開設。同48年芝浦工業大学卒業。
平成7年俳壇賞最終予選通過、同8年「桜蔭」入会。同13年から15年及び同17年から20年俳句界賞最終予選通過。同17年炎環新人賞、同18年「炎環」同人。同21年「桜蔭」総括選者(副代表)。同22年一橋大学大学院博士課程進学、同23年「桜蔭」代表。同23年第一句集『時空の旅人』(ふらんす堂)、同24年第二句集『π粒子(パイ粒子)』(角川書店)。

連絡先

住所
〒744-0024 神奈川県川崎市中原区小杉3-434-5 セントスクエア武蔵小杉1307号
FAX
044-711-5307
ホームページ
http://ouin.art.coocan.jp/

主宰の100句

1 月乗せて月を落とせる水車かな
2 羊水のなか行くごとく月の舟
3 月仰ぐ一人に一つ喉仏
4 深海をさすらふやうに秋の暮
5 空港の灯りて雪の奈落かな
6 燃え尽きて地図なき旅へ寒の鵙
7 少年は都会の闇へ誘蛾燈
8 終戦日天上よりの糸電話
9 月光に深く息する早桃かな
10 吾とゐて夜を眠らぬ金魚かな
11 四万十川の奥へ奥へと銀やんま
12 純粋のはらむ脆さや霜柱
13 朝焼の音の一つに連結器
14 メール待つしきりに鵙の鳴く日かな
15 少年の何も語らず卒業す
16 セーターにつつむ非婚の気負ひかな
17 ごきぶりを殺めたること君知らず
18 冷蔵庫開けて一人の部屋照らす
19 クレープの襞へ巻き込む春日かな
20 いなびかり鉄骨痩せてゐたりけり
21 竜巻の触れし大地の凍てにけり
22 鰯雲一語選みて一語捨つ
23 五線譜にのらぬ音あり冬の山
24 火の番の歩数を超ゆる星の数
25 宇宙よりヨットを探す電波かな
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26 瓜食みし妻の言葉は未来形
27 イグアナの青の孤独や真夜の月
28 生きてゐるものに音あり夏の谷
29 統計に載らぬ死のあり苔の花
30 汗の手のもどかしニトログリセリン
31 ででむしの止まりて夜の始まりぬ
32 書き留めてしまへば過去よ木の実降る
33 火と水の風の触媒鍛冶祭
34 草矢うち少年兵の立ち上がる
35 夕立なか迷彩服の駆け戻る
36 硝煙の消えてくつきり夏薊
37 ヨーグルトねつとり春を惜しみけり
38 買ふまでのながき立ち読み鳥雲に
39 流氷追はむ水と化すところまで
40 まんばうにまた逢ひたくて遠泳す
41 良薬に致死量のあり雪の嵩
42 生きて来し密度問ひつつ除夜の鐘
43 ポタージュの一滴梅雨の明けにけり
44 クローンの吾に会ひたる昼寝かな
45 草の花寝釈迦のやうにホームレス
46 しやぼん玉いびつなるまま割れにけり
47 養花天吾も迷子の一人なり
48 紅蓮とまれよ言葉出づるまで
49 透視図の焦点しづか初日の出
50 霜柱地図にまだなき埋立て地
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51 梟の寝落ちて白き花散りぬ
52 炎天や金属バットの音ひづむ
53 水底へ下りる階段秋の暮
54 里山の枯れゆく音に遊びけり
55 人間に疲れしさくら水へ散る
56 秋の蚊の影立たせけり薬包紙
57 ドヤ街の一期一会や大焚火
58 草枯れて虫の墓標となりにけり
59 生還のこの身つつめる初日かな
60 茶の花やこころの奥の難破船
61 卵白の泡を固めに冴返る
62 スポンジの水吸ふ速さ鳥帰る
63 どこよりの音に共鳴春障子
64 春北風やかざす搭乗バーコード
65 一山の城攻め上る木の芽かな
66 テロリスト潜みし街や大西日
67 目薬しまふ冷蔵庫一段目
68 大鎌の一振り虹の消えにけり
69 衰へし動体視力百足来る
70 勝ち目なき戦へ向かふ兜虫
71 赤壁の風の十字路夏薊
72 ミストシャワー日焼のからだ差し入れる
73 林道のゆるき封鎖や蛇の衣
74 満載のいのちの水や月の船
75 あれこれと母を待たせし良夜かな
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76 栗落ちて虫一匹を育てをり
77 幾許か蓮の実岸へ飛びにけり
78 新藁を摑みて洗ふ鎌と鍬
79 冬に入る石を叩けば石の音
80 真つ暗な回送電車冬銀河
81 榾継ぎて言葉やさしくなりにけり
82 丹田へ力集めて息白し
83 何もかも引き算の年逝きにけり
84 藍甕の泡の一粒寒明くる
85 ロボットの膝の屈伸春きざす
86 聞かぬ振りしてそつと出づ春炬燵
87 下萌やいつより土葬禁止令
88 土筆摘む大地かつては海の底
89 兄に母託して帰る花馬酔木
90 天守閣蜂一匹の天下かな
91 緑の夜二人のハヤシライスかな
92 いぢめなき日のあらばこそ夏休
93 飯饐えし臭ひかすかに副都心
94 月祀る人のしづかに飛鳥山
95 秋の日のくちびるに読む言葉かな
96 消すことのできるクレヨン開戦日
97 合図待つ一猟犬のうしろ脚
98 名画座の椅子のくぼみや冬灯
99 背伸びしてショーウインドウの冬帽子
100 生も死も神の手のなか霜の花

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