俳句の殿堂

萬翠荘 ホームに戻る俳句の殿堂TOP~俳句の殿堂~ 松の花

松の花(マツノハナ)

結社理念

松の花 同人誌
上田五千石の俳句理念であった「眼前直覚」「いま・ここ・われ」を継承し、「眼前即興」「眼前微笑」「眼前挨拶」を起点と し、「風姿」と「行きて帰る心の味ひ(循環律)」のある十七音の詩としての俳句を目指す。
「たのしいからあつまる。あつまるからたのしい。ただそれだけのこと―句会も結社もただそれだけのためのもの」

主宰者

松の花主宰 松尾 隆信
松尾 隆信(マツオ タカノブ)
昭和21年姫路市生まれ。
高校入学直後に発病し、サナトリウにて俳句を始める。「閃光」「七曜」「天狼」「氷海」を経て、「畦」上田五千石に師事。平成10年に「松の花」を創刊、主宰して現在に至る。俳人協会幹事、日本文芸家協会会員など。
【句集】
『雪渓』『おにをこぜ』『美雪』など7冊。

連絡先

住所
〒254-0046 神奈川県平塚市立野町7-9
FAX
0463-37-3555

主宰の100句

1 月明の病棟もるるオルゴール
2 去る母の前に後に秋の蝶
3 青春の病む胸飾るぼたん雪
4 葡萄食ふわが療養期あとわづか
5 ずぶ濡れの十代シャワーの水甘し
6 何を見出でて夕焼の海を指す
7 誕生日寒き海のみ見て返す
8 高くはるかに雪渓光る二十代
9 箱に咲く朝顔銀座裏通
10 ビーナスの肌して育つ雲の峯
11 月明に妻抱く受胎せよと抱く
12 木犀の金降らしめて呱々の声
13 きりん老ゆ日本のうろこ雲食べて
14 みちのくの水沢駅のつららかな
15 花祭までの一ト月定期券
16 郭公の鳴けばなくほど富士孤峯
17 田の中の一戸の秋をともしけり
18 からすうりとどめて杉の十二月
19 仕事始やシャープペンノックして
20 舌のみは肉の色して雪女郎
21 辞令とは紙切なりし汗し受く
22 林中にマフラーの赤走り入る
23 女が撞けば女の音色春の鐘
24 春のつららかみかみ登りゆるめざる
25 赤岩に雲海の渦ぶちあたる
TOPへ
26 手をつなぎあゆめり四万六千日
27 十月桜返り花より淋しけれ
28 いのちなりけり元朝の那智の滝
29 かるたとるはるかに遠きことのはの
30 人が生き返る映画や四月馬鹿
31 さぐり当つ乳首のごとき埋火を
32 おにをこぜ徹頭徹尾おにをこぜ
33 桑枯れて秩父のあかるくなりにけり
34 かんばせのほかは白菊棺の母
35 なむあみだぶつとさざんくわの散りにけり
36 竹夫人妻にとられてしまひけり
37 ゆらゆらと地球へしだれ桜かな
38 八十八夜ひたすらに眠りたし
39 冬桜わが彳つかぎり散りてをる
40 滝の中螢の落ちてゆきにけり
41 三千メートルの風が攫ひし登山帽
42 澄む水にひとすぢの水入り来たり
43 柿食へば暮れ柿食へば暮るるなり
44 亡き母の貼りし障子を洗ひけり
45 冬山に入り青空を登り行く
46 あらたまの年のはじめの海鼠かな
47 城跡の一本の麦熟れにけり
48 虫の闇松毬落ちて来たりけり
49 髪洗ふつららのごときちぶさかな
50 今年のはややうす味の新茶です
TOPへ
51 鳥渡り来る五千石逝きにけり
52 白菊や一誌創刊告ぐるべし
53 はりまにははりまのくにのてまりうた
54 喚声をあげて紅梅ひらきけり
55 空蟬や姿に出づるこころざし
56 蕪下げて本能寺へと入りゆけり
57 てのひらにどんどのにほひ持ち帰る
58 やどかりの音引きずつて進みけり
59 暮れ切つて元気撥刺初螢
60 空蟬となりて完全無欠なる
61 ゆうらりと揺れて長刀鉾が来る
62 盆の激湍たちまちに青くなる
63 乳の辺を八月の川流れけり
64 しらしらと蓬の葉裏母は亡し
65 白朮火の一寸先の都かな
66 ずんずんともぐる鳰の子まだもぐる
67 なんとなく腕上げてゐる運動会
68 狼の色の秩父となりにけり
69 人間は水のかたまり曼珠沙華
70 空海忌肚から咽へ声通す
71 遅れ毛の凛々と立つ野分かな
72 木枯の海には枯るるもののなし
73 鯛焼の五匹と街を行きにけり
74 わが息の七色にしてしやぼん玉
75 リラの花餠の重さのチーズ買ふ
TOPへ
76 いちばん下に置かれてゐたる渋団扇
77 水中の落葉に落葉加はれる
78 光堂まだやはらかき鏡餠
79 春隣美雪の名もて生まれけり
80 山滴れりみどり児の双眸に
81 をとこにはをとこのうれひ空海忌
82 秩父夜祭腹断ち割りの猪を吊る
83 紺碧の木枯吹けり地中海
84 煤逃げの地中海まで来たりけり
85 ミロのビーナスへセーターの児を掲げ
86 初蝶も二の蝶三の蝶も白
87 去る時が来る爽涼の滝の前
88 月明に鍵のはづるる音のして
89 両手とも手袋の中誕生日
90 中州へと水へと春の鳥の影
91 うらわかき亡者踊の指の先
92 白鳥のやうな白菜抱き上ぐる
93 古暦はづせば釘も抜けにけり
94 水攻めのやう水色のあぢさゐは
95 菜の花は大日如来の色なりけり
96 誓子忌のふらここに腰置きにけり
97 ふんころがしきのこの脇を押し行けり
98 妻ひとつわれはふたつぶ牡蠣フライ
99 ガリレオの地球は青し霜柱
100 七日粥生くることのみこころざす

俳句の殿堂INDEXへ戻る

このページの先頭へ