俳句の殿堂

萬翠荘 ホームに戻る俳句の殿堂TOP~俳句の殿堂~響焔

響 焔(キョウエン)

結社理念

響焔冊子
「響焔」は昭和33年加藤楸邨門の高弟で「寒雷」同人の和知喜八により創刊された。平成10年和知喜八高齢により山崎聰が主宰を継承し、平成25年には創刊55周年を迎える。
「今生きている人間をふたりごころで詠う」が理念である。「ひとりよがりではなく対象の声を聞け」と主宰は強調されている。

主宰者

響焔主宰 山崎總
山崎 聰(ヤマザキ サトシ)
昭和6年8月16日生まれ。昭和32年ごろ俳句入門。加藤楸邨門の高弟・和知喜八に師事。平成10年「響焔」主宰を継承。
【句集】
『海紅』『無帽』『飛白』『忘形』『荒星』ほかに『自解150句選』『喜八俳句覚之書』『季語のある風景(正・続)』エッセイ『シマフクロウによろしく』。
現代俳句協会顧問、国際俳句交流協会常務理事。

連絡先

住所
〒276-0046 千葉県八千代市大和田新田911-11-130

主宰の100句

1 おおかたは寡黙昭和の枯木星
2 葛湯吹きへこみたるところが出口
3 潺々と年逝く思いぼんのくぼ
4 天球のわずかに傾ぎぼたん雪
5 独房にいるごとき景遅日かな
6 赤ん坊ふと笑いけり蝌蚪の昼
7 放浪と漂着パセリ噛んでいる
8 東京のおおかたは地下巴里祭
9 子午線のすこしはみ出しあめんぼう
10 下駄はいて見る敬老の日の満月
11 するすると縄引かれゆく十二月
12 やや不埒冬の鏡のなかの顔
13 初景色正直そうで退屈で
14 寒晴のあかるいところおばあさん
15 梅咲いてほろほろと子が生れけり
16 亀鳴くは天から呼ばれたるごとく
17 紐は紐につながり春の野は遠し
18 春が来てすこしく無頼安房上総
19 出口あり灯朧の一遺影あり
20 憲法と八十八夜の暴れ雨
21 おろおろと人中人後わらじ虫
22 白南風の海からカミュ似の神攵
23 雨の匂いともちがう打水のあと
24 ローマより天竺遠しほととぎす
25 海山のあわいに炎(ほむら)はつなつや
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26 戦争のうしろの木から兜虫
27 古民家の尺貫法の暑さかな
28 男らに壺中はさびし天の川
29 簡潔に赤とんぼいる棒の先
30 しんがりに始祖鳥のいる冬の景
31 つばくろ帰るポケットから龍角散
32 神の留守ねむくなったら眠るだけ
33 跼むときのすこしのちからすずろ寒
34 鮟鱇のとろりと下がる昭和かな
35 しぶしぶと踏切上がるきのうの火事
36 たましいのざくりと寒い下り坂
37 馬にたてがみ人間凍ててなお無頼
38 海上を鞬靼の使者太郎月
39 二月風三月さくら灯のまわり
40 崩落は遠い海から花の昼
41 昭和の日もつとも熱く川下る
42 子供の日のあとに母の日ほろと海
43 蛍袋のなか灯れるは銀座
44 円周をはみだしている夏の蝶
45 なにがなしさびし父の日攵の山
46 冷奴くずして昭和ぶらぶら節
47 二階から紐下りてくる炎天下
48 ところどころ人間臭き青山河
49 犬と話す日傘大きく傾けて
50 晩節は山上微風青い百合
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51 土用丑の日ややあって一番星
52 てのひらのくらいところが熱帯夜
53 黙禱のあと八月が不意に来る
54 定型のまんなか灯る盆踊
55 われらみな風の旅人藁ぼっち
56 耿々と麻布十番初しぐれ
57 混沌は海にはじまり神の旅
58 金木犀散ってしまえばむかしの家
59 みちのくへ一本道の鵙のころ
60 また別の闇夜焚火のむこうがわ
61 どのたましいともなく八月の山河
62 晩節のまんなか真昼大花野
63 純粋は水中にあり破れ蓮
64 定住と漂泊どんと濁り酒
65 紛るありふくるるもあり木の芽雨
66 圧倒的多数ともいえず峡の梅
67 花篝ゆゆしき顔をしてほとけ
68 神やほとけや後景としてさくら
69 一月おわり童心そろりと戻る
70 冬から春とおいところに人を置き
71 ももさくら炎のごときもの海へ
72 冬の月人形町を通るとき
73 みみずくの耳のあたりを建長寺
74 海からひとりまたひとり冬の虹
75 萩すすきききょう刈萱風の行方
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76 ちちぶ往還鳥雑炊やや甘く
77 灯ともれば啼くふくろうの健康法
78 二度雨が降り峡の冬はじまりぬ
79 ことしまたひとり逝かしめ三の酉
80 ややゆらぐいのちを赤くさくら餅
81 泰山木の花と聖書と尾鰭かな
82 真顔とも笑顔とも子供の日の子供
83 しばらくは遊行のかたち蒸鰈
84 東京のうしろの闇をほととぎす
85 ところどころ地平に歪みぼたん雪
86 白鳥に影も翳持つ一人なり
87 大和から生者ぞくぞく春時雨
88 いっせいにでんでろどんどろ雛祭
89 草朧天界からふいにことば
90 家中に悪書はびこり文の日や
91 舟底に一握りの砂ザビエル忌
92 ひとりさびし三人暑し裏の町
93 炎天や象の鼻から水洩れる
94 だんだんと八月の顔象花子
95 みちのくは東のはたてしゃぼん玉
96 夕虹のかすかなるこえ塔に人
97 うしろから見る大噴水の懈怠
98 安房上総雨すぐ止んで夏休み
99 たましいのひとりあそびのあめんぼう
100 炎天や男来て杭打ち込みぬ

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