俳句の殿堂

萬翠荘 ホームに戻る俳句の殿堂TOP~俳句の殿堂~ 黄鳥

黄鳥(コウチョウ)

結社理念

黄鳥冊子
感動を即物表現で最短詩の俳句として表現する。
名利、空論を避け、お互いの個性を尊重し、常に、俳句でなければ表現できない感覚の句を目標に、昨日の俳句に何か をプラスした句を作ることに努力する。

主宰者

黄鳥主宰 小西領南
小西 領南(コニシ リョウナン)
本名・博孝  大正13年愛媛県生まれ。
昭和17年旧制松山中学卒業。国立興南錬成院(拓南塾)卒業。野村東印度殖産㈱に入社。ジャワ支店・経理部を経て、企業園支配人。ジャワで現地入隊、幹部候補生。終戦。レンバン島に抑留される。昭和21年復員・引揚。関西捺染㈱に入社。昭和50年代表取締役。平成5年退社、現在に至る。

俳歴
昭和21年
「東虹」(芝火)入会
昭和23年
「天狼」創刊、入会
昭和24年
「東虹」同人。「俳句ポエム」に同人参加。「東虹賞」受賞。 「炎昼」創刊、入会。
昭和28年
「炎昼」同人、「炎昼賞」受賞
昭和35年
「天狼」会友
昭和48年
「東虹」「俳句ポエム」同人辞退
平成6年
「天狼」終刊、後継誌「天佰」同人
平成8年
「炎昼」終刊、「黄鳥」創刊、代表。 俳句協会会員、NPO詩歌句協会理事
【句集】
『鐵鎖』『冬帽子』『独楽の芯』。他に『現代俳句選集』50句・『歳華悠悠』285句。

連絡先

住所
〒793-0042 愛媛県西条市喜多川390-19

主宰の100句

1 浮きあがるものふえてきし春の沼
2 土筆出る気配の土手となりにけり
3 山桜咲けり難所の遍路道
4 春着買ふ妻待つ鏡多きなか
5 盆梅展旧き廓の大広間
6 花吹雪今年は横に妻居らず
7 位牌の妻見ゆるところに雛飾る
8 若布干す砲塁跡の石畳
9 給食に添へし袋の雛あられ
10 孔雀ゐて春泥となる檻の中
11 青麦の畝砂浜のなかに消ゆ
12 酒倉の大扉を閉める夕桜
13 丸き石あり春の川盛りあがる
14 女の抱く犬に舐められ三鬼の忌
15 チューリップ開く花弁のはづれるほど
16 河口まで来て花筏遡る
17 仏具店かがやく春の日が射して
18 農具小屋春光返すものありぬ
19 滝壺の静まるところ藤映す
20 蟹あまた棲みて家運にぬるぎなし
21 ボート漕ぎ出す推しくれし力継ぎ
22 昼に逢ひ花火の傘下にても会ふ
23 明け切らぬ道路で氷挽き始む
24 瀧のそば瀧とはならぬ水落ちる
25 万緑ゆく索道荷札はためきて
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26 暑き甲板舵の鐵鎖の動きたる
27 油槽船灼けて腹より水を吐く
28 新緑や畳めり込むピアノの脚
29 草刈機たまに高音出すもの刎ね
30 水抜きてプール危険な崖となる
31 鰻桶どれがどいつの頭やら
32 落蝉の生きゐて指にしがみつく
33 形代と流し切れざる癌残る
34 採り尽くしたる銅山の青嶺なす
35 本堂に鶏上る暑さかな
36 万緑の島に神社の千木が出て
37 選りて買ふ百円均一蠅叩
38 金魚田の底まで雨のとどきをり
39 本殿に昼寝蹠外に向け
40 千枚の水田太陽ひとつづつ
41 プールの水満たして底の線ゆらぐ
42 通夜の座の寄せ集めたる扇風機
43 慟哭の洩るる病室梅雨深し
44 梅雨探し屍と降りる昇降機
45 炎天に骨壺抱きて躓けり
46 船溜まり骨となりなりたる団扇浮く
47 紫陽花の群の中より地蔵の顔
48 刺青の男も来たる溝浚へ
49 空蝉を吹けばとほくへとびにけり
50 蠅叩持ち桟橋に魚売る
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51 あめんぼう跳びて流れに位置保つ
52 西日に干す病みたる妻の洗ひ物
53 蟋蟀の身の輝けり闇より来て
54 墓石を磨く鶏頭映るまで
55 種を採る鶏頭の頭を指で掻き
56 いなびかり戦乱の世の城となる
57 千枚の稲田一枚墓地なりし
58 卓上に思索にふける胡桃の脳
59 一触即発たんぽぽの絮の球
60 蜻蛉つるみて琵琶湖中ほどまで来る
61 穂絮とぶ岩にも水面にも触れず
62 干柿の種も平たくなりゐたる
63 葡萄摘み房の重さの手に移る
64 耕耘機トラックに乗り疾走す
65 盆の寺脱がれて綺羅のハイヒール
66 運動会の歓声の島船で過ぐ
67 蓮田を出るや泥手で路掴み
68 蜩や宿に鞄のもの出しをり
69 水たまり乾きて秋の空の消る
70 街燈に馴れ夜遊びの石叩
71 鶏頭の頭にのせて軍手干す
72 反古の縒りもどる音して夜半の秋
73 地鎮祭雪に浄めの塩を撒く
74 冬の石まつすぐ蹴って歩きだす
75 蔦枯れて煉瓦の家を金縛り
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76 雪山の宿天皇の写真古ぶ
77 緋袴の巫女参道の雪を掻く
78 雪の境内赤き自動車巫女のもの
79 真つ先に雪嶺となる神の嶺
80 木槌もて更に平たく干鰈
81 火事場までホースの水のふくれゆく
82 寒夜過ぐ大きな駅の明るくて
83 寒さ溜りし病廊の突き当り
84 水族館鮫が横目でわれを見る
85 枯野道石段となり海に入る
86 大嚏して自転車のぐらつけり
87 枯葦の燃ゆる音して火の見えず
88 検札の車掌ゆれつつ大枯野
89 牡丹焚く仏燭をもて火種とし
90 天守の窓荒るる海向き雪嶺向き
91 病院の前過ぐるとき咳きにけり
92 涸河に水幅だけの板の橋
93 芒原踏切ひとつありにけり
94 板の道のばして蓮田掘りすすむ
95 癌病棟枯野に影を濃くしたり
96 夕日受け遠き雪嶺のみ紅し
97 澄む点をさぐり当てたる独楽の芯
98 病む妻に並びて買ひし福袋
99 天金の日記帳買ふ快癒して
100 言葉交わせず初夢の亡き妻と

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