萬翠荘 ホームに戻る|俳句の殿堂TOP|~俳句の殿堂~ ひたち野
ひたち野(ヒタチノ)
結社理念
俳句固有の五・七・五の形式と季語・季題を必須とする伝統と歴史を重んずる俳句観に立つ。即ち有季定型の俳句に拠ることを根本とする。
これに拠ると共に、俳句を文学の一形態として把握、作者である自己の関わりにおいて自然と人生とにおける真・善・美を一句に定着させた作品を常に創造することを目指す。
そしてまた、俳句は集積の文芸と考えられるので多年に亘り継続して多数の俳句を生み続け、自己の生きた証として残していくことを信条とする。
主宰者
矢須 恵由(ヤス ヤスヨシ)
昭和14年、茨城県生まれ。
昭和44年萬緑入会、萬緑新人賞・萬緑賞、昭和45年ひたち野入会、ひたち野賞、茨城県俳句作家協会新人賞、同協会賞。萬緑同人会副会長。俳人協会員。茨城県俳句作家協会長。俳文学会員。元県立高校長。
連絡先
住所
〒311-0113 茨城県那珂市中台64-6
〒311-0113 茨城県那珂市中台64-6
主宰の100句
1 | 長命はちちははの役冬すみれ |
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2 | 黄落や掌を膝に母起ち上がる |
3 | 引き鴨や忘るることを知り初めし |
4 | 初鵙や制し合ひ育つ長女次女 |
5 | この寒さ城失ひし時よりぞ |
6 | 白鳥が来て沼に色生まれけり |
7 | 学校にガラス屋が来て風光る |
8 | 校長と呼ばれ寒風裡に立てり |
9 | 藁頭巾自愛他愛の寒牡丹 |
10 | 太極拳動けば動く青山河 |
11 | 行く先の信号が青花菜風 |
12 | どの田にも人動きをりみどりの日 |
13 | 初夏の東京タワー雲匂ふ |
14 | 梅落し一家総出となりにけり |
15 | 職退いてよりの身軽さほととぎす |
16 | 明るさの中の寂しさ沙羅の花 |
17 | 団子虫団子になりぬ炎昼裡 |
18 | 酒蔵の涼しさにをり旅半ば |
19 | かなかなの声より暮るる奥常陸 |
20 | 秋耕や父祖伝来の黒き土 |
21 | 満月が真上にかかり殉職碑 |
22 | 天上は無垢の群青秋薊 |
23 | 切干や母の縁側妻継ぎて |
24 | 木枯や杜の奥なる要石 |
25 | 神杉の全身錆びて冬深し |
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26 | 行く年の車内掃除をねんごろに |
27 | 寒晴や山には山の素顔あり |
28 | 名園の寒木清貧さながらに |
29 | 山の名は太郎山なり植樹祭 |
30 | 早起きに始まる日課夏鴉 |
31 | 高波の崩るる音や白牡丹 |
32 | 大橋の塗料剥落梅雨の音 |
33 | 外でする朝の歯磨き四葩咲く |
34 | カーテンの腰を括るや夏蝶来 |
35 | 夏夕水切り続ける父子かな |
36 | 感嘆詞自ら発して大花火 |
37 | かなかなや一本松とふ停留所 |
38 | 涼新た磨かれてゆくビルの窓 |
39 | この日また二度となからん萩に触る |
40 | 障子貼り終へし明るさ明日がある |
41 | 灯火親し二人暮らしに二つの灯 |
42 | 空にまだ残る明るさ秋つばめ |
43 | 野の果に東京の空吾亦紅 |
44 | ごろつきのごと向き向きに榠樝の実 |
45 | 飛ぶ鳥に必死さありぬ秋の暮 |
46 | 白鳥に真顔といふものありにけり |
47 | まだ真白くならぬ白鳥たちもゐて |
48 | 梢まで筋金入りや冬欅 |
49 | 一番湯湯舟の底に柚子の影 |
50 | 床の間に双翼の鷹淑気満つ |
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51 | 道尽きてこの先は崖寒落暉 |
52 | 職退きてよりの快食花菜風 |
53 | 花菜晴山に肩あり胸ありて |
54 | 遠山のみな霞みをり旧任地 |
55 | 流されてゐて流されぬ春の鳶 |
56 | 春愁や使はぬ部屋にもの探す |
57 | 六月や青・蒼・碧の陸海空 |
58 | 炎暑急石切る鋸の水しぶき |
59 | 好き嫌ひなしと百歳夏雲雀 |
60 | 球形は癒しの形濃紫陽花 |
61 | 牛蛙くり返し鳴き暮れてゆく |
62 | 泉湧く力むにあらずおのづから |
63 | 泉湧く森に力のあるかぎり |
64 | 泉澄む一日一日一大事 |
65 | 一日一句一日万歩夕かなかな |
66 | 碑に籠る義民の声や曼珠沙華 |
67 | 行人の両手に荷物仮渡し |
68 | 白壁の白を極むる黄落期 |
69 | ひらひらと隣家の産衣石蕗明り |
70 | 四日はや車の下に修理工 |
71 | わが声の谺たしかむ初山河 |
72 | ねんごろにいとかんたんに紙を漉く |
73 | 無駄のなき人間の顔冬林檎 |
74 | 明日からの手つかずの日々梅真白 |
75 | 水温む上にも下にも橋ありて |
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76 | 製材の押す人引く人山笑ふ |
77 | 木挽き師の急がず休まず若葉風 |
78 | 買つて飲むアルプスの水花水木 |
79 | 身ほとりに水の音して杜若 |
80 | 梅雨明けの天心に月父母の家 |
81 | 屋上や無職同士の暑気払ひ |
82 | 塀のなき名刹に山滴れり |
83 | 祖父よりの辞書を繕ふ盆休み |
84 | 軽石でこする踵や盆休み |
85 | 初秋の鳴門や今日は今日の渦 |
86 | 紅葉かつ散る水戸地方裁判所 |
87 | 曼珠沙華水車は水を光らせて |
88 | 沈むべきものみな沈み水澄めり |
89 | 天高し農学校に献血車 |
90 | 快眠に快食快談鵙日和 |
91 | 秋高し五重塔に心柱 |
92 | ひとり居の紙の白さに秋惜しむ |
93 | 冬紅葉昔から水湧くところ |
94 | ここからはいつも一人や冬銀河 |
95 | 詣で客もてなす焚火不動尊 |
96 | 庭のものみな凍て切って日を待てり |
97 | 生きざまに勝ち負けはなし冬すみれ |
98 | 散髪も大事の一つ地虫出づ |
99 | 梅寒し水戸に遺れる太極砲 |
100 | 自画像は死ぬまで未完冴え返る |