萬翠荘 ホームに戻る|俳句の殿堂TOP|~俳句の殿堂~ 飛行雲
飛行雲(ヒコウグモ)
結社理念
私の出身母体は「天狼」である。平成5年11月、山口誓子先生より(最近、体力と視力が低下、「天狼」を終刊します。「天狼」に満ちてゐた私の俳句精神を受け継いでお励み下さい。)という一文を頂いた。
私が「飛行雲」第3号巻頭言(「飛行雲」が目指すもの)に掲げたヒコーキ俳句の振興は、「天狼」の俳句精神を受け継ぐ一つの道であると思っている。それにより、俳人究極の目標である<おのれの俳句確立><前進>を続けたい。
主宰者
駿河 岳水(スルガ ガクスイ)
昭和7年東京都生まれ。
新制高校在学時「氷海」「天狼」に入会。
早稲田大学卒業後、昭和35年㈱日刊航空設立。
平成8年「飛行雲」創刊。
平成14年(財)日本航空協会「航空功績賞」
受賞。
平成24年「茨城文学賞」受賞。
連絡先
住所
〒300-1237 茨城県牛久市田宮3-12-3ベルヴィラ1109
〒300-1237 茨城県牛久市田宮3-12-3ベルヴィラ1109
主宰の100句
1 | 青畳に乳を呑む子の手があそぶ |
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2 | 暁の美術館裏凍死体 |
3 | 空港ロビー掃除機歩く帰省分け |
4 | 貴様と俺の仲の貴様の墓洗ふ |
5 | 落椿自由の水に乗りて去る |
6 | 除夜の空下りて来て置く機長帽 |
7 | 空中の元旦除夜に離陸して |
8 | 花抱きて快楽の蜂花と揺れ |
9 | 校長室プール開きの禰宜がゐる |
10 | 長城の壁の垂直蟻のぼる |
11 | 死に場所と決め青簾路地に吊る |
12 | ナイターの上着陸機脚垂らす |
13 | シナリオのなき人生の木の葉髪 |
14 | 飛行機に下駄履きで乗る盆の僧 |
15 | 飛行機に乗り込む遍路死装束 |
16 | 神集ふ国にジェット機にて着けり |
17 | 破魔矢挿す操縦席の天井に |
18 | 霧祓ひ霧に見えざる山開く |
19 | 天井扇錆び大連の昭和果つ |
20 | 廃鉱の焚火にくべる組合旗 |
21 | 刑務所の塀の際まで田を植ゑる |
22 | ベルリンの壊されし壁月照らす |
23 | 決闘の武者瞳の合はぬ菊人形 |
24 | ざる蕎麦を添へたる除夜の機内食 |
25 | 引っ越しの最後としたき注連飾る |
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26 | 牛丼に顔押しつけて夜学生 |
27 | 読書灯点けて良夜の空を飛ぶ |
28 | おのが吊る赤札を吹く扇風機 |
29 | 多喜二息絶えし築地署注連飾る |
30 | 原子力時代炭火で鰻焼く |
31 | 整備士に去年今年なき格納庫 |
32 | 地下鉄の下の地下鉄震災忌 |
33 | 地下街に働き帰燕忘れゐし |
34 | 自転車に乗り夜神楽の神が来る |
35 | 鯊舟の上に離陸の脚たたむ |
36 | もはや飛ぶことなき機長月祀る |
37 | 草茂る石碑一つが古戦場 |
38 | 隠岐便を待つ空港の蜆汁 |
39 | 操縦桿引いて青野を傾かす |
40 | 枯野割る直線の灯が滑走路 |
41 | 音速で空飛ぶ涅槃西風に乗り |
42 | 水上機ドドドドと曳く水尾涼し |
43 | ブラジルへ機中二泊の夜の長し |
44 | グライダー翔つきさらぎの風掴み |
45 | 板子一枚下は地獄の舟遊び |
46 | 古稀なんていやねと妻の初化粧 |
47 | 枯芝に飛び石七つ予科練碑 |
48 | 空輸牛聖夜ぞろぞろ搭乗す |
49 | 海上空港架橋もろとも陽炎へり |
50 | 札幌は青樹の基盤着陸す(札幌丘珠空港) |
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51 | 戦争の昭和生き抜き南瓜煮る |
52 | 見えぬものみな見えてくる年の暮 |
53 | 軍艦島時停まりたるままに凍て |
54 | ヒコーキ野郎また一人逝き星流る |
55 | ランプ員除夜の離陸へ灯を回す |
56 | 死ぬ日まで現役初湯溢れしむ |
57 | 成層圏航きてお屠蘇を頂きぬ |
58 | 鰻屋に備長炭の初荷来る |
59 | 高度一万食ぶ梅干のにぎりめし |
60 | マッカーサー知らぬ世代のサングラス |
61 | 闘癌の百日窓に青筑波 |
62 | 着陸の降下夏野にサイロ見ゆ |
63 | 恐山へ行く網棚の夏帽子 |
64 | 禰宜祓ふ新滑走路ばった跳ぶ |
65 | 行く年の剣劇かかる木馬館 |
66 | 神棚も仏壇もなく合格す |
67 | 春暁の始業体操格納庫 |
68 | 着陸の前照燈に稲架浮かぶ |
69 | 煤逃げのアメ横に来て漂流す |
70 | ぶらんこに雪つむ志村喬の忌 |
71 | フィリピンからの花嫁春田打つ |
72 | 島のどか郵袋下ろすプロペラ機 |
73 | ダービーの追ひ込み鞭を叩きあふ |
74 | 着陸許可待ち梅雨空を旋回す |
75 | 管制塔秋めく影の濃く長し |
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76 | 足跡の集まる雪の無言館 |
77 | ヘリコプターよりブーケ抛(な)ぐ海開き |
78 | 二学期の千の白シャツ御茶の水 |
79 | 墓参りいづれわれらは無縁仏 |
80 | 一列にペンギン歩む文化の日 |
81 | 古書店の跡は居酒屋文化の日 |
82 | 膝に置く鯛焼ぬくし荒川線 |
83 | 初御空航空記者の五十年 |
84 | パン屋はや二日未明に灯を点す |
85 | うららなる空金婚の空を飛ぶ |
86 | 青春の黴びし角帽捨て切れず |
87 | 利尻昆布空路廃止の島に干す |
88 | 携帯電話圏外の瀨に岩魚釣る |
89 | 発電風車回る竜飛の夏惜しむ |
90 | 踊り子の乳房ぶるぶるサンバ祭 |
91 | 大根下ろしは日本の文化晩酌す |
92 | わが死後も鳴る踏切に年惜しむ |
93 | 雪掻いて商ふ会津絵蠟燭 |
94 | パラグライダー将門駈けし青野飛ぶ |
95 | スカイツリー立つ横丁のかき氷 |
96 | 抽き出しに二千円札沖縄忌 |
97 | 鮎の川守る判決どっと沸く |
98 | ノーベル賞はいらず焼酎あればよし |
99 | ラブホテル街の子規庵虫すだく |
100 | 映画館すべて消えたる六区冷ゆ |