萬翠荘 ホームに戻る|俳句の殿堂TOP|~俳句の殿堂~ 風来
風来(フウライ)
結社理念
全く自由な姿勢で、自分が感動したことを、十七文字にする。
主宰者
和田 悟朗(ワダ ゴロウ)
大正12年神戸生まれ。
大阪帝國大学理学部卒。理学博士。奈良女子大学名誉教授。
昭和27年、橋間石の「白燕」に参加。平成22年「風来」創刊。
【句集】
『七十万年』『法隆寺伝承』『坐忘』『風車』等。
【受賞】
現代俳句協会賞、現代俳句大賞、読売文学賞。
連絡先
住所
〒630-0221 奈良県生駒市さつき台2-451-179
〒630-0221 奈良県生駒市さつき台2-451-179
主宰の100句
1 | 巻尺を出し切り冬の川に沿う |
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2 | みみず地に乾きゆくとき水の記憶 |
3 | 秋の入水眼球に若き魚ささり |
4 | 死者ついにわれと隔たる曼珠沙華 |
5 | 雲にいどむ少年夜は青き小枝 |
6 | 朝露の青き中なれば言いやすし |
7 | 太陽へゆきたし芥子の坂を登り |
8 | 死なくば遠き雪国なかるべく |
9 | カナダかなた古き太陽ゆく一路 |
10 | 男ものいう太平洋もいう |
11 | 薪能少う舞うていたりけり |
12 | 黄道を先行くここち鷦鷯 |
13 | かげろうや肝胆ふかき猫と居る |
14 | 日は走り梅林隙間ばかりなり |
15 | うす墨の硯の沖に雪来つつ |
16 | 春の家裏から押せば倒れけり |
17 | 白靴の音なき午後をペルシャまで |
18 | 病苦あり天地根元造りかな |
19 | 寥寥と遠きもの来て駐車場 |
20 | 親鸑と川を距てて踊るかな |
21 | 脳軟化して点点と寒雀 |
22 | 少年をこの世に誘い櫻守 |
23 | 東京を一日歩き諸葛菜 |
24 | 永劫の入口にあり山さくら |
25 | 灌頂や落花は絶間なきものを |
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26 | 連子窓二つの窓を相隔つ |
27 | 玉虫厨子いずこの山も故郷かな |
28 | 夢殿におのれを見付け涼しさよ |
29 | 太古より墜ちたる雉子歩むなり |
30 | 万緑や山もろともに渡来せる |
31 | 古時計鳴るにんげんの春の声 |
32 | 夏至ゆうべ地軸の軋む音すこし |
33 | 遠国に縞馬逃げる眩しさよ |
34 | 葉櫻や人を拒まず輝かず |
35 | 無人踏切無人が渡り春浅し |
36 | 夏鴉地に蜿蜒と時間あり |
37 | 一室に春を区切りて弄ぶ |
38 | 膨張を思いとどまる茄子かな |
39 | 即興に生まれて以来三輪山よ |
40 | 本当は戦争好きや菊人形 |
41 | わが庭をしばらく旅す人麻呂忌 |
42 | 空間はいつも雨降り沙羅双樹 |
43 | 遠霞最後の授業して帰る |
44 | 百足虫ゆく畳の上をわるびれず |
45 | 野菊とは雨にも負けず何もせず |
46 | 山椒魚あらゆる友を忘れたり |
47 | 寒暁や神の一撃もて明くる |
48 | 青梅やころげて自我の果てをゆく |
49 | ローマ軍近付くごとし星月夜 |
50 | 生馬なる山坂をゆきおらが春 |
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51 | 湖に水のふえたるおぼろかな |
52 | 天辺は人知れずあり朴の花 |
53 | 東の間の永劫束の間の焚火 |
54 | 杜若対称軸を正うす |
55 | 冬山の姿定まり坐忘かな |
56 | 内臓をゆるく包みて十三夜 |
57 | 新年は吉野へ還る鴉かな |
58 | 夕されば人と離るる春の鹿 |
59 | 藤の花少年疾走してけぶる |
60 | 群れの雀霰となりて草に降る |
61 | 抽象と具象のあいだ神戸冷ゆ |
62 | 百億の人に元日一地球 |
63 | 星月夜本をまたいで座にもどる |
64 | 一隅を一切とせり石蕗の花 |
65 | 一月や白きものみなその位置に |
66 | つばくらめ無数の線と交錯す |
67 | 空中にとどまるやんま矢のごとし |
68 | 永劫の途中に生きて花を見る |
69 | 滑空の燕に琵琶湖溢れおり |
70 | 舌を出すアインシュタイン日に青葉 |
71 | シャボン玉の中のシャボン玉反宇宙 |
72 | 椿山別の径ゆく人の声 |
73 | 人間であること久し月見草 |
74 | いわれなき謹賀新年真杉立つ |
75 | 重力も浮力もなくて寒の鯉 |
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76 | 星までのはるかな空虚松の芯 |
77 | 物言えば耳に聞こえて秋の暮 |
78 | 蚊柱の中の混沌連れ歩く |
79 | 観覧車もっとも高きとき晩夏 |
80 | 二階には二階の畳夏休み |
81 | 台風や地球の水を繰り返し |
82 | 春いちばん大道芸人失敗す |
83 | 野に遊ぶ静止衛星から見られ |
84 | 千羽鶴千羽の無言天の川 |
85 | 虫めがねもて見る虫のすね毛かな |
86 | これだけの菊をさかせて怠け者 |
87 | 去冬の海はるかまで同時なり |
88 | なめくじり空想の道みな断たれ |
89 | 鯉幟天上の水ゆたかなり |
90 | 直感は光より疾し蝶の紋 |
91 | 八十を越ゆれば宇宙あたたかし |
92 | 夕顔や月に降りたつ心地して |
93 | 人間を休む一日朴落葉 |
94 | 充電の静けさにあり春の石 |
95 | 風来の人を親しみ火の祭 |
96 | 歓声は沖より来たり風車 |
97 | 目まといを払えば大湖はるかなり |
98 | あかとんぼ群れて産土蘇る |
99 | 黄落の限りなければ門を閉ず |
100 | 太陽を拒むものなし寒の海 |