俳句の殿堂

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(ドウ)

結社理念

道冊子
「道」創刊主宰北光星の俳句信条である「俳句は型・型は心・心と伝統」を継続。
師系は臼田亜浪、竹田凍光。

主宰者

道主宰 源鬼彦
源 鬼彦(ミナモト オニヒコ)
昭和18年樺太生まれ。
北海道立新川東高校卒業後、郵政職員。
昭和41年北光星に師事、「扉」(現・道)入会。
平成13年「道」主宰。
北海道文化奨励賞。札幌文化奨励賞などを受賞。俳人協会評議員、俳人協会北海道支部長などに就任。
著書は『北溟』など5冊。ほかに俳句鑑賞『俳の真景』など4冊。

連絡先

住所
〒007-0865 北海道札幌市東区伏古5-2-4-18

主宰の100句

1 炎昼を抜けきて鶏の首はねる
2 蕗の薹水の匂ひの少女来る
3 炎昼の死者ひつそりと爪のばす
4 鱗そぐ音があかるい秋の中
5 塩きつく茄子漬け雲の言葉待つ
6 吹雪く中離農の髪を逆立ちに
7 新雪の森越え妻が産みに行く
8 雪原より低く枕を並べ寝る
9 寒鮒の身の秀く痛さ母ももつ
10 雛飾る妻子は水のあかるさに
11 卵黄に血の筋走る二月尽
12 親疎もつ雑木の声や雪しまく
13 人形のまなこが殖ゆる新雪里
14 杉の秀や我もみなもと義仲忌
15 日盛の沼が居坐る開拓地
16 衣擦れといふかそけさの春の闇
17 春灯といふあやしさの息遣ひ
18 流氷に流氷嚙ませ一鴉たつ
19 海峡を望みてすする三平汁
20 白鳥を見に行くむすび塩きかす
21 鬼やんまときにきらりと風捌く
22 海霧に住みいつしか妻の睫濃し
23 鳩吹の掌を合わせしは祈りとも
24 眉もたぬ公卿人形の深雪晴
25 轆轤また蹴られて廻る師走かな
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26 妻と子の寝嵩を跨ぐ暮の秋
27 新しき目貼るため目貼剥ぐ
28 男らの港まつりは喧嘩眉
29 秋刀魚焼く宗谷岬を背に負ひて
30 真夏日の利尻富士見る胡坐かな
31 島に住む島を大きな虫籠に
32 流氷もまた旅人の孤独感
33 涯の雪降るといふより突き刺さる
34 ほろ酔ひて母にもの問ふ春の闇
35 裸木を叩けば骨の音がする
36 祈るにはあらぬ頭をさげ吹雪行く
37 戦記読む蜆の砂をまた嚙みて
38 落葉松の秋は金色十勝晴
39 鰊焼く鱗まみれの手のままで
40 雪焼の男いきなり歯で笑ふ
41 緑陰の端に鎮座の何でも屋
42 辛夷散る影といふもの空におき
43 風を生む青田が次の風を生む
44 鬼やんま止まる術なき海へいま
45 冷まじや声まで老ひし山羊を飼い
46 筑前の鬼よく笑ふ稲の波
47 目礼をしてまたひとり夕焚火
48 鮭群るる荒立つ風を波の中
49 凍滝へ男声もつ鴉二羽
50 飢ゑばかりきらめくさまにかじけ鳥
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51 戸袋のまたもや歪む大雪解
52 夏雲に双肩貸して利尻富士
53 甚平の御仁もおはす遊園地
54 味噌汁のややなまぬるき敗戦忌
55 遠のぞむ親鸞像や萩の白
56 樺太の島影を操る薄の穂
57 後ろ手に北風の河原を来る鴉
58 夜咄の濃き影に添ふ淡き影
59 追悼の雪また雪の降る山河
60 多喜二忌の埠頭に刺さる波の先
61 風の声ばかりの宗谷つくづくし
62 花林檎元局長のコップ酒
63 山鳩の等間隔の声ぞ夏
64 祭笛漁具に船の名港の名
65 新涼の波が音生む島日和
66 摩り跡に寒さただよふ燐寸箱
67 遠吠の貼り付いてゐる冬の月
68 絶海に声ありとせば虎落笛
69 ふくろふの目玉といふに丸ふたつ
70 凍鶴や空の青さは息とめて
71 のどけしと魚をあやめる刃を研ぎに
72 伝蔵の口一文字花の昼
73 平原の遠景つなぐ橋薄暑
74 湿原に風の言霊満ちて夏
75 冷夏かな泥の匂ひの一揆の碑
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76 走り根の先まで灼けて開拓地
77 相貌は岩にもありて野分跡
78 墓群めく夕暮の町鳥渡る
79 朽野や列車の汽笛弓形に
80 北天の光源として鶴の列
81 銀嶺の谺を浴びて雪卸
82 氷像の獅子のたてがみ日が磨く
83 新じゃがの泥の親しさてのひらに
84 北天のここは真ん中花どぐい
85 国境へみな総立ちの吾亦紅
86 雪吊の尖りが天の喉元へ
87 凍道に躓く風の自嘲かな
88 韋駄天の風が先陣流氷来
89 落花いま神の翼をほしいまま
90 望郷やはたてのはての宿の月
91 母見舞ふ月の丸さを携へて
92 天空の水満々と鮭遡上
93 猿払や破船に雪の平手打ち
94 反骨の形そのものの大海鼠
95 流氷をおおと俯瞰の利尻富士
96 青梅やお尻かくす子すぐ出す子
97 銀漢の真水のひびき霊山へ
98 空知野や父の匂ひの注連の藁
99 枯草にとどまる日差し海難碑
100 卵には卵のぬくみ吹雪の夜

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