俳句の殿堂

萬翠荘 ホームに戻る俳句の殿堂TOP~俳句の殿堂~ あすなろ

あすなろ

結社理念

あすなろ冊子
俳句の純粋性を重視。素直な目、素直な心、素直な言葉で平明な俳句を志向する。会員は平等の原則で同人などの資格制限はない。
成績を意識した作品を排除する為に年間賞なども一切無し。

主催者

あすなろ主宰 森田かずを
森田 かずを(モリタ カズヲ)
昭和4年兵庫県生まれ。
京都府立第一中学校入学後、疎開のため同福知山中学校に転校。卒業後、農業に従事。その後、神鋼造機㈱に入社。
昭和51年「菜の花」に入門。平成6年結社誌「あすなろ」を創刊。岐阜県シルバー大学俳句講師。岐阜新聞俳句選者。大垣市文芸祭俳句選者。

連絡先

住所
〒503-2321 岐阜県安八郡神戸町末守1-21
FAX
0584-27-8881

主宰の100句

1 帰る巣のなき鳥ならむ冬木立
2 海鳴りの山越えてくる雪の村
3 枯れ揃ふ河口や鴨の来る季節
4 崖下に冬田四五枚海女の村
5 墓までの道その先は葛の山
6 郭公の去る山霧を濃くしつつ
7 木曽馬に花野の草を摘みにけり
8 山に雪村居ずまひを正したる
9 雪国の暮れても見ゆる雪の山
10 早春の明るさここに雑木山
11 引く波にすこし曵かれし落椿
12 薄紅葉谷に気ままな日の射して
13 伊勢海老の髭重箱をはみ出せる
14 鵜の鳥屋へ細く除けある雪の道
15 湖ぎはの電柱に鳶夏終る
16 帰らむとすれども冬の滝の音
17 眠る妻越前は雪振りをらむ
18 水芭蕉水に写りて静かなる
19 山へ飛ぶつばくろの背の光りけり
20 朴の葉の半分焦げし焚火跡
21 余呉寒し真一文字に湖光り
22 日輪の淡し初冬の関ヶ原
23 冬に入る湖の静かに光をり
24 湖暮れし最後の鴨の戻り来て
25 陵の山より一羽冬鴉
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26 余呉早春雪の下ゆく水の音
27 屋根に雪すこしづつあり余呉の春
28 どぶろくや獅子舞の貌地を這ひて
29 ひとひらも散らぬ静けさ朝桜
30 渡し場に冬の目高が二三匹
31 疲れ鵜の引き上げられて雫せる
32 大根を提げて日暮の寒さ言ふ
33 鳥雲に積み木のごとく海女の村
34 生き死にはともかく蝉の鳴くことよ
35 稲架立ちて余呉余呉らしくなりにけり
36 茶の花の静けさ余呉の静けさに
37 去来忌の過ぎたる嵯峨の初しぐれ
38 余生なほ生きよ生きよと法師蟬
39 熊が出してふ貼紙や余呉に雪
40 神島が霞むそら豆咲くころは
41 誰も行けぬ谷の深きに大桜
42 荒布の端踏ませて貰ひ灯台へ
43 そこにだけ日の差してゐる焚火あと
44 まだ誰も踏まざる落葉よき音す
45 電柱に鳶その先は冬の海
46 海を見る妻と冬日を分かち合ひ
47 植ゑかけの田があり村に葬あり
48 白鳥の来し日湖北に吾も居し
49 みづうみの向う灯ともる雪の村
50 羽衣の伝説余呉に春の雪
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51 しなのよき八尾で一の踊り手で
52 踊り唄変はるひときは声張りて
53 雪を掻く明日も雪よと言ひながら
54 むしり食う若狭鰈や吹雪の夜
55 鮒鮨や湖も涯なる雪の宿
56 白鳥に逢へざり雪を踏み帰る
57 掌を浸す琵琶湖ぬくしと思ひけり
58 幹に鉈入れし傷あと山ざくら
59 三本のあと見つからず初わらび
60 雨戸操る音の聞こえて夕牡丹
61 重文の塔ひぐらしの声の中
62 しぐるるや藍を深めて飛驒刺し子
63 禅堂にともる一灯年明くる
64 観音の臍美しや雪の寺
65 蜷の道きのふの道とけふの道
66 海女小屋に裏口のなし逃げ場なし
67 海女みんな休漁海女の葬の日
68 畳にて死ねば極楽だよと海女
69 舟で来る人を待ちをり曼珠沙華
70 鴉鳴く声がときをり冬の谷
71 この峠越せば大原花こぶし
72 立春の力増したる日差しかな
73 早苗月暮れても青き木曾の空
74 ダム底に沈むちちろのこの声も
75 黒板に離村のことば冬の谷
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76 泉湧く音のかすかに夜明けかな
77 餌の順ひとつとばされ燕の子
78 五箇山の夜の深さや青葉木菟
79 伝説はすべて悲話なり夏炉燃ゆ
80 瀬音にも揺れて水引草の花
81 枯るるほかなき蟷螂の貌尖る
82 句帳の雪払ひて雪の句を記す
83 老人と猫のみの島梅ひらく
84 二つ三つ又二つ三つふきのたう
85 黒鯛のどつと揚がりに時化のあと
86 瀬音のみ翡翠飛んでゆきしあと
87 さしこ刺す障子明りに身を寄せて
88 猪罠のあり木洩日の差してをり
89 草餠を搗く音朝の吉野山
90 墓ひとつ藁家一軒冬の谷
91 輪中史は洪水史なり秋深む
92 わが影も菰の中なり寒牡丹
93 炉火赤し古里に居る思ひして
94 こきりこの里雪に明け雪に暮れ
95 水を飲む蝶雪渓の端に来て
96 かすかなる波紋泉の湧くたびに
97 紅花の里や畦にもこぼれ咲き
98 蒼然と五重の塔や青葉谷
99 悲史ここに秋雨はげし平泉
100 大仏に見下ろされゐる寒さかな

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